『ゲーム・オブ・スローンズ』のヌードシーンやセックスシーンに関して、ヤーラ・グレイジョイを演じたジェマ・ウィーランが当時の混乱を振り返った。(フロントロウ編集部)

サポート体制がなかった『GoT』

 2019年に完結したドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』は多くのキャラクターが登場する群像劇であり、それぞれの女性キャラクターも高い人気を誇ったが、一方で歴代の脚本家のなかで女性は2人、監督のなかで女性は1人という問題も指摘されていた。

 そして本ドラマでは、女性のヌードやセックスシーンも少なくはなく、物議をかもしたレイプシーンもあった。エミリア・クラークが演じたデナーリス・ターガリエンや、ソフィー・ターナーが演じたサンサ・スタークがレイプされた展開に関しては、本人たちだけでなく、その相手を演じたジェイソン・モモアやイワン・リオン、さらにジェイミー・ラニスター役のニコライ・コスター=ワルドーなどまでもが、心を痛めたと明かしている

 しかし、俳優をサポートすべきベッドシーンやヌードシーンの撮影で、制作陣の対応は決して適切といえるものではなかったよう。ヤーラ・グレイジョイを演じたジェマ・ウィーランが、英The Guardianのインタビューで、現場の様子を振り返っている。

 「制作陣は、『アクションと叫んだら、始めて!』とだけ言ってた。興奮した混乱状態になりえた」

画像: サポート体制がなかった『GoT』

『GoT』の現場で俳優同時が助け合い

 2018年にMeTooムーブメントが起こって以降、映画やドラマの撮影現場では、親密なシーンで俳優たちをサポートする専門家のインティマシー・コーディネーターが起用されることがスタンダードになってきている。

 『ゲーム・オブ・スローンズ』を制作したHBOは、2018年10月に、全作品のセックスシーンの撮影にインティマシー・コーディネーターを雇うことを発表したが、『ゲーム・オブ・スローンズ』の大半はそれ以前に制作されたため、俳優たちに専門家のサポートはなかった。

 しかしジェマによると、俳優たちは俳優たちでお互いをサポートしたという。

 「俳優たちの間には、常にお互いを確認する本能があった。売春宿での女性のシーンでは、彼女はすごく露出していたから、カメラはどこにあるべきかや、彼女はどうしたいかというのをみんなで話しあった。監督は、『胸を噛んで。そしたら彼女のお尻を叩いてゴー!』というようなことを言うかもしれなかったけど、私はいつでも他の俳優と話した」

画像: ジェマ(中央)とアルフィー(右)。左はアルフィーの当時の恋人であるDJのAllie Teilz。

ジェマ(中央)とアルフィー(右)。左はアルフィーの当時の恋人であるDJのAllie Teilz。

 ヌードシーンの前にはトイレで泣いていたと明かしている、主演の1人であるエミリアは、現場でジェイソンが助けてくれていたと明かしている。そしてエミリアは、ミッサンデイを演じたナタリー・エマニュエル守っていたと、ナタリーが明かしている。

 俳優同士で助け合っていたことは確かだと言える『ゲーム・オブ・スローンズ』の撮影現場。ジェマは、シオン・グレイジョイを演じたアルフィー・アレンについて、「アルフィーは、『これは大丈夫?どうやってうまくいかせる?』という感じだったね」と、彼もサポートしてくれる姿勢だったと明かしたうえで、「インティマシー・ディレクターがいれば、それは振りつけになる。あなたはあそこへ動く、私はあそこへ動く。そして許可と同意は、始まる前に。それこそが正しい方向性」と話し、現場が改善されていることに前向きなコメントを残した。

(フロントロウ編集部)

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