映画『ハリー・ポッター』シリーズでロン・ウィーズリー役を演じたルパート・グリントが、そのトランスフォビア的な発言が問題視されている同シリーズの原作者であるJ.K.ローリング氏との関係性について改めて語った。(フロントロウ編集部)

トランスフォビア的な発言が問題視されているJ.K.ローリング氏

 2001年に映画『ハリー・ポッターと賢者の⽯』が公開されてから20周年を迎え、特別番組『ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ』がここ日本でも1月8日にU-NEXTで配信された。番組には歴代のキャストや監督たちが揃って出演し、昔話に花を咲かせているが、シリーズの生みの親である原作者のJ.K.ローリング氏は番組に出演せず、2019年に収録されていたインタビューが組み込まれているのみとなっている。

画像: トランスフォビア的な発言が問題視されているJ.K.ローリング氏

 米EWは昨年、ローリング氏が番組に出演していない理由について、番組側はローリング氏にオファーを出したものの、彼女のチームがそのオファーを断ったのが理由だと報じている。ローリング氏は近年、“トランスジェンダー女性は女性ではない”とする発言を繰り返すなど、トランスフォビア(※)的な立場を一貫して示していることが問題視されてるものの、関係者は米EWに対し、ローリング氏の欠席はそれが原因ではないとしている。

※トランスジェンダー/トランセクシュアルに対するネガティブな感情・思想・行動。

 『ハリー・ポッター』やその新シリーズ『ファンタスティック・ビースト』シリーズの関係者たちの多くも、以前より彼女の立場に反対することを明確にし、今まで『ファンタスティック・ビースト』シリーズの宣伝で使用されていた「J.K.ローリングがあなたを招待する(J.K Rowling invites you)」という文言が、2022年公開予定の映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の予告動画では「ワーナー・ブラザースがあなたを招待する(Warner Bros invites you)」に変更されるなどしている。

 また、『ハリー・ポッター』シリーズに登場する魔法界のスポーツ“クィディッチ”を現実世界でのスポーツとして主催する団体が、ジェンダー平等や包括性の評判を守るために名称を変更することを発表した。

ルパート・グリントがJ.K.ローリング氏との現在の関係性を語る

 そんななか、今回、映画『ハリー・ポッター』シリーズで10年にわたってメインキャラクターの1人であるロン・ウィーズリーを演じてきたルパート・グリントが英The Timesのインタビューに応じて、ローリング氏との現在の関係性について語った。

画像: ルパート・グリントがJ.K.ローリング氏との現在の関係性を語る

 ローリング氏の発言が問題視され始めた当初より、「僕はトランスコミュニティーを支持します。トランスジェンダーの女性は『女性』です。トランスジェンダーの男性も『男性』です。僕たちはみんな、愛とともに、批判されることなく生きる資格があるべきです」と、トランスジェンダーの人々を支持する声明を発表していたルパート。

 今回、彼は「僕はJ.K.ローリングをおばのように慕っていますよ。必ずしもおばの言うことすべてに同意する必要はないわけで、彼女は今も僕にとってはおばのような存在です。複雑ですね」と語り、ローリング氏のことは慕っているものの、今なおローリング氏の立場には同意しかねるという複雑な心境を明かした。

 ちなみに、最近になって改めてローリング氏に反対する立場を示した『ハリー・ポッター』キャストはルパートだけでなく、ロン・ウィーズリーの兄であるパーシー・ウィーズリーを演じ、LGBTQ+コミュニティのために積極的に活動していることでも知られるクリス・ランキンは昨年、「僕の家族にも(LGBTQ+)コミュニティのメンバーが大勢います。(コミュニティの人々は)僕の人生の大部分を示しているのですが、僕のこの発言からも、その点において(ローリング氏の発言に対して)僕がどちらに忠義を示したいかがお分かりかと思います」と英Eastern Daily Pressにコメント。

 「強調すべきは、トランスジェンダーの人が自分を男性もしくは女性と言った時、それが彼らなのであり、僕らはその人たちをそのように扱うべきということです。そうではないと言うのは、その人たちを傷つけてしまうことになります」と語り、ローリング氏のトランスフォビア的な発言に異論を唱えた。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.