『ハリー・ポッター』関連イベントで、キャストが原作の著者であるJ・K・ローリングについて話すことをPR側が禁じたと英メディアが暴露した。(フロントロウ編集部)

トム・フェルトンへの取材中に質問を遮られ

 J・K・ローリング著の世界的ベストセラー小説シリーズ『ハリー・ポッター』は、ワーナー・ブラザース制作の映画やテーマパークなどに形を変えて世界中で愛されている。7月からはロンドンのワーナー・ブラザース・スタジオで、人間の耳にとって致命的なレベルの叫びをあげる植物マンドレイクを主人公にした新アトラクション『Mandrakes and Magical Creatures』がオープンする。

画像: www.wbstudiotour.co.uk
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 そのオープニングを記念したイベントには映画版でドラコ・マルフォイを演じるトム・フェルトンが出席したのだが、その場を取材していた英Sky Newsの記者が、PR陣が著者J・K・ローリングから距離を取ることに必死だったと明かして現地で話題になっている。

 記者は、「Sky Newsはインタビューの中でJ・K・ローリングの名前を出すことをPR側に禁じられました。我々のレポーターの質問は途中で遮られ、質問を変えるよう指示を受けました」と、現場で起きた出来事を暴露。

 インタビューでは「作品と関係のないプライベートの話を聞くのは控えてください」などとNG質問が出ることは珍しくないが、記者側がその事実を明かすのは珍しいこと。Sky News側はPR側の対応が相当納得できなかったようで、なぜダメなのか解答を求めたそう。すると、「J・K・ローリングはワーナーやトム・フェルトンとは関係がなく、この記事とは関係がないと考えました」という内容のメールを受け取ったという。

 ワーナー側がJ・K・ローリングから距離を取る姿勢を見せたのは、これが初めてではない。映画1作目の公開20周年を祝うためにキャスト陣が再集結した特別番組『ハリー・ポッター20周年記念: リターン・トゥ・ホグワーツ』の撮影にJ・K・ローリングは参加せず、過去に収録されたインタビュー映像が再生されるに留まった。また、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズで使われていた「J・K・ローリングがあなたを招待します(J.K Rowling invites you)」という文は「ワーナー・ブラザースがあなたを招待します(Warner Bros invites you)」に変えられ、名前のクレジットも非常に小さなものになっていた。

 この一連の動きの背景にあるのは、著者のトランスジェンダー女性に対する発言。ローリング氏は“トランスジェンダー女性は女性ではない”という考えを一貫として主張しており、イギリス国内の人権団体や政治家から“反トランスのヘイトグループ”とされている団体LGB Allianceを支援するといった行動も見せて、大きな批判を浴びている。

 ローリング氏の言動には映画版の主演3人からも反応があり、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフは「私の歩んだ人生はジョー(※ローリング氏の愛称)のおかげであることは明白ですが」としたうえで、「トランスジェンダーの女性は『女性』です。これに反する意見は、トランスジェンダーの方々のアイデンティティや尊厳を傷つけ、この問題についてジョーや僕よりも遥かに専門性を有する医療の専門家たちのあらゆる助言と対立するものです」と発言。ロン役のルパート・グリントは「僕はトランスコミュニティーを支持します。トランスジェンダーの女性は『女性』です。トランスジェンダーの男性も『男性』です」と、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンは「(トランスジェンダーの人々には)自己認識が間違っていると言われたりすることなく生きる権利があります」と、トランスコミュニティへの支持を口にした。

 一方、今回の取材対象だったトムは2020年にET Canadaからローリング氏のトランス発言について聞かれており、そのときは「とくに(意見は)ないです」「僕は他人が言ったことに意見をする人間ではない」と答えていた。(フロントロウ編集部)

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