3月24日(金)より全国公開される映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』のブレット・モーゲン監督にインタビュー。“デヴィッド・ボウイ財団が公認した唯一の映画”として、財団から提供された膨大なアーカイブに監督が2年をかけて目を通した末に完成したのは、よくあるドキュメンタリーとは違う、まったく新しい「シネマ体験」。映画についてはもちろん、デヴィッド・ボウイ本人との対面の思い出や、映画を観たU2のボノやショーン・ペンからもらった最高のリアクション、そして現代のハリー・スタイルズにも通ずるようなボウイの先見性などについて訊いた。(フロントロウ編集部)

ブレット・モーゲン監督にインタビュー

『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』が生まれることになった経緯について教えていただけますか?

「2015年にカート・コバーンについての『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』という映画を公開したのですが、この映画を終えた後で、伝記としてのドキュメンタリーでできることはやり尽くしたという気がしたのと同時に、シネマという形式で音楽を提示することをものすごく楽しめたように感じました。それで、新しいジャンルを創り出したいと思ったのです。基盤を伝記とは違うところに置きつつ、私たちを惹きつけるロックやアートのミステリーを包括するような、音楽ドキュメンタリーに対する新しいアプローチを試したいと思ったのです。アートやアーティストを解剖したり、説明したりするのでなく、むしろそれらをシネマ体験として反映させるものを創りたいと思うようになりました」

画像: ブレット・モーゲン監督

ブレット・モーゲン監督

2007年にデヴィッド・ボウイと直接会って、映画化の構想について話し合われていたそうですが、彼との対面を振り返ったときに、特に印象に残っているエピソードなどはありますか?

「私がデヴィッドと直接会ったのは、ごくわずかな時間でした。7年もの間、デヴィッド・ボウイについて探求してきた私ですが、彼と同じ部屋の中で一緒に過ごしたのは30分か40分ほどでした。とは言いつつも、彼についてのあらゆる素材に目を通した今、彼との対面を改めて振り返ると、(印象的だったのは)その“存在感”でしょうか。デヴィッドはあらゆる瞬間に存在していました。彼は人生におけるあらゆる瞬間を、交流や成長のための機会として捉えようとしていたのです。彼はものすごく若い頃から、この地球上で過ごす時間は限られているということを心の底で認識し、理解していたように思います。彼の存在からは、そうしたことが感じられました。一瞬たりとも無駄にはしないという姿勢を」

画像: ブレット・モーゲン監督にインタビュー

『ムーンエイジ・デイドリーム』というタイトルに決めたのはなぜですか?

「元々は、『ボウイ・クオテーション(※Quotation=“引用”や“発言”という意味)』というタイトルにするつもりでした。ずっとそれを仮のタイトルとして進めていたのですが、作品のコンセプトを表すには重すぎるのではと思うようになりました。この作品とは何たるかを、表していないのではないかと。この作品について考えてみたときに、それを表す最も適切な表現として思いついたのが、『ムーンエイジ・デイドリーム』でした。実際のところ、それが何なのかは私には分かりません。いまだにそれはミステリーなのですが、この映画が伝えようとしている色彩やエネルギーを感じることができるのです」

This article is a sponsored article by
''.