現代のハリー・スタイルズにも通ずるデヴィッド・ボウイの先見性
以前、デヴィッド・ボウイのトリビュートコンサートにも出演したことのあるヤングブラッドにインタビューしたことがあるのですが、“コラボしてみたいアーティスト”について訊いたときに、真っ先に「デヴィッド・ボウイ」と答えてくれたことが印象に残っています。
「ええ。彼はボウイの大ファンですよね」
ヤングブラッドはレッテルに捉われることなく自分自身を表現しているようなアーティストだと思うのですが、他にも例えばハリー・スタイルズのような、自分らしさを自由に表現するアーティストが今は自然と人々に受け入れられるのは、デヴィッド・ボウイがそういう土壌を作ってくれたことが大きいと思っています。この映画を観て、今になって時代がデヴィッド・ボウイに追いついたような印象を受けました。
「まさしくその通りですね。デヴィッドは1970年の時点で、21世紀のために曲を書いていたと思います。彼は私たちの周囲に存在していた周波や通信を敏感に認識していました。当時既に存在していたのに、彼以外には認識できていなかったものたちです。彼は未来学者ではないにせよ、今日において重視されることについて描写していたのです」
そういった意味でも、この映画はリアルタイムではデヴィッド・ボウイを聴いていなかったかもしれない若いオーディエンスにこそ観ていただけたらと思っています。若いオーディエンスに向けてメッセージをいただけますか?
「もちろんです。私はこの映画を年配のオーディエンスを想定して作ったわけではありません。何よりもまず、この作品は人々の五感に訴えるような、スペクタクルな新しい映画体験として作ったものです。その形式でコンテンツを伝えているのです。個人的には、私たちは人生において、若い時期や、その瞬間に留まることに多くを費やしていると思っているのですが、年齢を重ねるごとに人生がどんどん上向きになっている人のことを目撃すると、この上なくインスピレーションを受けて、自分の人生における指標のような存在になると思います。いずれにせよ、若いオーディエンスに前提としてお伝えしたいのは、これは企業の(宣伝用の)コーポレート・ムービーのようなものではないということ。そして、思い切りロックに興じていただきたいということ。これはアートであり、作品です。私が映画について愛しているすべてをシネマの本質を通じて抽出した、万華鏡のように渦巻く、テーマパークのアトラクションのような作品なのです」
『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』は3月24日(金)よりIMAX®️ / Dolby Atmos同時上映。
(フロントロウ編集部)