まるで患者が精神科病院を運営している状態
今回の裁判の原告は、同校に親子で教師として雇用されていた母と娘。規約違反をしたとして先月カニエに解雇されたが、アフリカ系アメリカ人女性に対する人種差別的な不当解雇だったとして、今回提訴に踏み切った。そして、裁判により、今まで外部にはほとんど知られていなかったドンダ・アカデミーのずさんな学校運営の事実が次々と明るみに出ている。
原告らによると、「カニエは階段を恐れていたため、全ての授業は1階で行われていた」そうで、学校のドアは外側から施錠され、食事は毎日ランチに寿司が提供されるのみ。フォークやその他の食器の使用は許可されず、学生は昼食時に床に座るルールだった。清掃サービスや学校の看護師は雇われず、アカデミー内の薬は管理されていないか、期限切れになっていたとのこと。
生徒の服装は、カニエが指定したデザインの全身黒のみで統一され、カニエがデザイナーとして一時期契約していたナイキとアディダスの着用は禁止されていたという。また2人は、同校では厳格な生徒指導の基準がないため、いじめが横行していたと主張し、教員に対しても人種差別があったと訴えた。
もともとカニエのファンだったという原告は、「私は彼の音楽が今でも好きですし、彼の才能を否定するつもりはありません。彼の学校に対するビジョンは、書類上は素晴らしいものに聞こえますが、実際は純粋なカオスと反乱です。まるで、精神病院が患者によって運営されているようでした」とコメント。原告の弁護士はさらに、「カニエ・ウェストは、プライベートでもキャリアでも、自分の生活を管理するのがうまくないように、学校の運営がうまくないことは明らかです」と付け加えた。
カニエは2022年に反ユダヤ主義的な発言を繰り返していた結果、アディダスやギャップと契約を打ち切られたうえ、バレンシアガやアナ・ウィンターといったカニエと親しかったファッション関係者からも公に関係を切られ、ファッション界を追放された。同年には、ドンダ・アカデミーに勤務していたユダヤ人教育者のタマル・アンドルーズが、カニエの反ユダヤ的な発言に抗議するために辞職。2022年10月27日、アカデミーは突然の閉鎖を発表するも、すぐに再開校を発表しと、混乱が起きた。(フロントロウ編集部)