日本デビューアルバム『ハウ・トゥ・レット・ゴー(ジャパン・エディション)』をリリースし、初となる来日公演も控えるシグリッドにインタビュー! イースター休暇を家族と過ごすために母国ノルウェーに滞在していた彼女が、日本のためにと時間を作ってZoomで取材に応じてくれた。(フロントロウ編集部)

「No」と伝えられるようになったことがアーティストとしてのターニングポイントに

待ちに待った日本デビューということで、ここまでのキャリアを簡単に振り返っていただきたいと思っています。「Don’t Kill My Vibe」が大ヒットしたり、BBC Sound Of 2018で1位に選ばれたりと、デビューして間もない頃からいくつかの転機があったかと思うのですが、ご自身のキャリアのターニングポイントとなった瞬間を3つ挙げるとしたら、いつが思い浮かびますか?

最初は、高校の頃だと思います。「Don’t Kill My Vibe」は世界に向けたリリースとしては最初のものでしたが、その前からキャリアはスタートしていたので。なので、最初のターニングポイントは、16歳くらいのときに楽曲を書いたことですね。兄もアーティストなのですが、地元で兄がショーをやる機会があったときに、「一緒にステージで歌っていいよ」って言ってくれたんです。私にとってそれが初めての公の場でのパフォーマンスでした。ただ、それには自分の曲が必要だって兄から言われたので、そのための楽曲を書いたんです。自分で仕上げた楽曲としてはそれが最初だったのですが、その一ヶ月後にナショナルラジオのプレイリストに加わることになりました。私にとっては、「何かが起きている。自分には何かがあるのかもしれない」って感じた瞬間で、それが最初のターニングポイントでしたね。必ずしも完璧な曲ではありませんでしたが、最初のきっかけとしては素敵なものだったと思います。

画像: 5歳年上の兄テレフ・ラーべ(Tellef Raabe)とシグリッド。 ©️Sigrid/Instagram

5歳年上の兄テレフ・ラーべ(Tellef Raabe)とシグリッド。

©️Sigrid/Instagram

それから、「No」を伝えることができたあらゆる瞬間も、重要な瞬間だったと思います。音楽的に自分らしくなと感じたことに「やりません」と伝えたり、いっぱいいっぱいになっているときに次の仕事に「やりません」と伝えたりした瞬間たちです。キャパシティの大きさは人それぞれ異なると思うのですが、私は何度か、「オフの時間が必要です」っていうふうに、「No」を伝えたことがありました。燃え尽きないようにするという点で、すごく大切なことだったと思います。

壊すしかなかった
行かなきゃならなかった
ここから歩き出したのははっきり知るため
愛するのはこの目に映る人
鏡の中で私を見つめている
鏡の中で 何物にも代え難い
鏡に映るこの気持ちは
ー「Mirror」歌詞抜粋

3つ目を挙げるとしたら、セカンドアルバム(『ハウ・トゥ・レット・ゴー』)でしょうか。私をさらに“アルバム・アーティスト”として確立してくれた作品だと思うので。私はできる限り長く活動したいと思っていますし、大好きな音楽を作って、大好きなツアーをし続けたいと思っています。ツアーもこの仕事の好きな部分ですけど、セカンドアルバムをリリースできたことはクールでしたね。

画像: 「No」と伝えられるようになったことがアーティストとしてのターニングポイントに

少しさかのぼって、最初の世界的なヒットになった「Don’t Kill My Vibe」について訊かせていただきたいのですが、シグリッドさんの言葉を借りればこの楽曲も「No」と伝えることがテーマになっていますよね。この楽曲は、女性蔑視的な音楽業界の男性の重役に「No」を伝えるということがインスピレーションになった曲だと思うのですが、この曲に込めたメッセージについて改めて振り返っていただけますか?

この曲は、2人の男性と一緒に取り組んだライティング・セッションについて書いた曲です。2人とも私より年上で、多くの経験があって、力もある人たちでした。当時19歳だった私にとって、私が参照していることはクールじゃないだとか、私の意見やアイディアは面白くないだとか、そういうことを2人から言われることほど、最悪なことはありませんでした。私は当時、不安も抱えていた時期だったので、そう言われてもどうすればいいか分からなかったんです。どうやって声をあげればいいかも分かりませんでしたし、最初のセッションの一つだったので、何が普通なのかも分からなければ、あの部屋のなかでどういう扱いをされるべきなのかも分かりませんでした。それで、スタジオから逃げ出して母親に電話をしたんです。「私はどうすればいい?」って。そうしたら、母は「後で、この経験からきっと良いものが生まれるよ。だから心配しないで」って言ってくれました。

自分が私にとって重要だって思っているんでしょ?
でもあなたはここに相応しくない
自分が私にとって重要だって思っているんでしょ?
雰囲気を壊さないで
ー「Don't Kill My Vibe」歌詞抜粋

それで、数ヶ月後にまたスタジオへ戻って、彼らについて書いた曲が「Don’t Kill My Vibe」です。これは、リスペクトされていなかったり、いないことにされていたりするように感じる心情について歌った曲でもありますが、同時に、自分の声を見つけて、それを乗り越え、そういう人たちに「どっか行って」と伝える曲でもあります。こういう書き方は私らしいとも言えて。私はその場で何かを伝えるのが苦手なタイプなのですが、家に帰って、怒りを込めてそれについての曲を書くんです。私にはそういう対処の仕方が合っていると感じます。いずれにせよ、楽曲に書いたような状況は、あのセッション以降は起こらないようになりましたよ。

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