日本デビューアルバム『ハウ・トゥ・レット・ゴー』での意外すぎるコラボ秘話
日本デビュー作でもある、セカンドアルバム『ハウ・トゥ・レット・ゴー』について訊かせてください。このアルバムのなかでは、個人的には1曲目に収録されている「It Gets Dark」が特にお気に入りです。特に、繰り返し歌われる「It gets dark so I can see the stars(暗くなっていく だからこそ星が目に入る)」という歌詞が大好きで、シンプルなフレーズですが、アルバムが伝えようとしていることを象徴している歌詞の1つのように感じています。
嬉しいです!「It Gets Dark」は私にとってもお気に入りの曲なので。「It gets dark so I can see the stars」というフレーズは、時には周囲や頭の中が少し暗くなってしまったり、難しいことを経験したりすることもあるけれど、トンネルの最後には光を見つけられるということや、そういう経験を通じて素敵なものに感謝できるということについて歌っています。個人的にも、誰しもにそういう時期があるように、この仕事を楽しめない時期がありました。
こんなに家から離れたことはなかった
今なら分かる
暗くなっていく
光の速度で移動する 私は行かないと
でも今なら分かる
暗くなっていく だからこそ星が目に入る
ー「 It Gets Dark」歌詞抜粋
私は今、子どもの頃に想定していたのとは違う人生を歩んでいるんです。ポップアーティストになるなんて夢にも思っていませんでした。元々は先生になりたかったんです。でも、今できているこの仕事は大好きで、特権も感じていますし、自分は幸運だと思っています。『ハウ・トゥ・レット・ゴー』は、自分が想定していたのとは違ったあらゆるものを“手放す”ことについてのアルバムです。違った方向へ進んでいったこととか。いくつかは良い方向に進んでも、もしかしたら、他のものたちは良くない方向へ進んでいったかもしれない。自分が望んでいた方向や、2人が望んでいた方向には進まなかった交際もそうです。手放さなければいけないものというのは、たくさんあるわけです。
浸り続けるのは時間の無駄
なんの解決にもならないから
目を乾かすの 泣きたい気分じゃないから
少なくとも今夜は 泣きたい気分じゃない
ー「Don’t Feel Like Crying」歌詞抜粋
まあ、ある意味では、それこそが私の仕事でもあるんですけどね。自分の感情について書くのが、私の仕事なので。だから私は頻繁に過去を振り返るんですけど、「Don’t Feel Like Crying」という曲でも歌っているように、「浸り続けるのは時間の無駄、なんの解決にもならないから」ということなんです。それは私の信念のようなもので、よく「浸っていても助けにならないんだ」っていうことを自分に言い聞かせています。一方で、ソングライターとしてはそれが仕事なわけですけど。書くときに大切なのは、自分の感情に浸って、それを煮詰めて、“決して手放さない”ことなので。楽曲の題材になるものは常にあるので、もっとうまくできるようになりたいなとはずっと思っていますね。
「Bad Life」でのブリング・ミー・ザ・ホライズンとのコラボは、ちょっとしたサプライズでした。彼らとのコラボはどのように実現したのですか?
実際、私たち全員にとってもサプライズでしたよ(笑)。この曲へのリアクションを見るのは最高です。間違いなく、ポップアーティストにとっては珍しいコラボになっていると思いますし、それこそが大好きな部分です。きっかけは、UKのレディング・フェスティバルのバックステージで、ブリング・ミー・ザ・ホライズンのジョーダン・フィッシュ(キーボーディスト)と会ったことでした。そこで話したときに、彼から、「オリー(・サイクス/フロントマン)と取り組み始めたデモがあるんだけど、一緒に書いてみない?」って訊かれたので、「もちろんです!」って答えました。それで、ロンドンで何日か一緒にスタジオに入って書き上げたのが、この曲です。私が歌詞を付け加えて、完成したという感じです。すごく素敵でしたし、楽しい時間を過ごせました。彼らは今も良い友人ですし、お互いに移動が多いので会うのは難しいのですが、よく話をしていますよ。
世界が肩にのしかかり
自分の心の重みさえしんどくなってきたら
怖いと感じてしまうよね
物事はそういう風にできている
それは悪い日だったというだけ
悪い人生なわけじゃない
ー「Bad Life」歌詞抜粋