女性ホルモンのバランスが乱れて、心身ともにさまざまな影響が出る更年期。そんな更年期に起こりやすい症状のひとつ「GSM(閉経関連尿路性器症候群)」を知っている?(フロントロウ編集部)

海外で注目を集める「GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause)」

 閉経前後の各5年ほどを指す更年期は、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量が急激に減少してバランスが乱れる影響で、いらいらや頭痛、不安感、ホットフラッシュ、鬱っぽい、閉所恐怖症、異常発汗、動悸、めまい、不眠、頭重感、腰痛、関節痛、嘔吐、食欲不振、乾燥肌、掻痒感、頻尿といった心身の不調を感じやすい期間。
※のぼせやほてり、発汗などが起こる更年期の代表的な症状

画像: 海外で注目を集める「GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause)」

 不調の数や程度には個人差があり、人によっては日常生活やキャリアに大きな支障をきたすこともあるため、とくに海外ではより多くの人の更年期の悩みに寄り添えるようにと考えられた「メノテック」製品やサービスが増えている。

 そんな更年期に関連する悩みとして、近年海外で注目されているのが「GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause)」。日本では閉経後性器尿路症候群と呼ばれるGSMは、欧米では多くのメディアで取り上げられていて、治療法などを紹介する記事も多い。その一方で、日本ではまだ目にする機会は少なく広くは知られていない。

 そこで、GSMとは一体どんなものなのかを専門家に質問。教えてくれるのは、石川県野々市市にある腎臓・泌尿器の治療を中心とした専門クリニック「なかざわ腎泌尿器科クリニック」で院長を務める中澤佑介医師。女性も通いやすい泌尿器科クリニックを目標とする「なかざわ腎泌尿器科クリニック」でGSMを疑う症状の診察にあたっているという中澤医師に、GSMの特徴や治療法について聞いてみました。

「GSM」ってなに?どんな症状が出る?

画像: 「GSM」ってなに?どんな症状が出る?

 GSMとは一体どんなものなのか、中澤医師は「閉経や治療、体質などにより、女性ホルモンが低下したために起こる泌尿器及び生殖器のトラブルの総称として2014年に提唱されました」と説明。閉経後にエストロゲンが減少することで、外陰部や腟の粘膜、皮膚組織が萎縮し脆弱化し、それによって泌尿器や生殖器の不快症状が顕著に起こるのがGSMなのだという。

 具体的な症状は多岐にわたり、中澤医師によると外陰部や腟の乾燥、灼熱感、かゆみ、尿もれ、頻尿・尿意切迫感、繰り返す膀胱炎(再発性膀胱炎)、性交痛などがあるという。また中澤医師は、同時に複数の症状が出現する可能性もあると解説した。

 GSMの症状には、加齢によるものと似ているものが多いため、GSMなのかそうでないか見極められるのかも気になるところ。これについて中澤医師は、「ご自身の判断では難しいと思います。まずは疾患を疑い受診しないと症状は改善できないので、気になったら受診を勧めます」とアドバイス。気になったら婦人科または泌尿器科に診察に行くことがオススメだそう。

発症する女性の割合はなんと10%超え!

画像: 発症する女性の割合はなんと10%超え!

 まだ更年期に差し掛かっていない人でも気になるのが、GSMを発症する割合。なんとその割合は10%以上にのぼるという。

 中澤医師は「日本における40歳以上79歳以下の女性のうち11.6%がGSM症状を有していることが確認されました」と説明。

 日本性機能学会による閉経関連泌尿生殖器症候群の疫学的調査によると、とくに40~49歳の人がGSMの症状を有している確率が高く、その割合は15%にのぼることが分かっている。
※参考文献:日本性機能学会による閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM:Genitourinary Syndrome of Menopause)の疫学的調査
Hikaru Tomoe, Yumi Ozaki , Mayuko Yamamoto et al. Menopause. Epidemiological study of genitourinary syndrome of menopause in Japan (GENJA study). 447-53. 2023

治療法にはどんなものがある?

画像: 治療法にはどんなものがある?

 これほど多くの人が症状を有しているとなれば、具体的な治療法も気になるところ。

 治療法について中澤医師は、「全身及び局所的なホルモン補充があります。また自由診療になりますが『インティマレーザー』と呼ばれるレーザーによる治療もあります」と明かした。インティマレーザーとは、レーザーの温熱効果によりコラーゲンの生成を促進し、デリケートゾーンの皮膚・粘膜の弾力や水分量を改善する治療法だという。

未然に防ぐための方法も

画像: 未然に防ぐための方法も

 事前に気をつけておくことで、GSMの発症をできるだけ抑えられる方法もあるという。

 中澤医師は、「デリケートゾーンの痛みや乾燥をケアする製品を使ったり、外陰部に触れるおりものシートなどについて肌・腟粘膜への刺激が少ない素材の製品を選択したりすることで、GSM有病率が低下する可能性があると考えられています」と明かした。

 取り入れることで必ずしも発症を防げるわけではないものの、ケアの習慣化や刺激を与えないよう心がけることが、GSMの予防につながるよう。

 更年期に起こりやすい症状「GSM(閉経関連尿路性器症候群)」。更年期はまだ先のこと…という人もぜひ覚えておいて。

教えてくれたのは…中澤佑介医師
石川県野々市市にある腎臓・泌尿器の治療を中心とした専門クリニック「なかざわ腎泌尿器科クリニック」で院長を務める。男性だけではなく、女性にも身近で専門的な泌尿器科クリニックを目標とし、仕事をしている人が休まなくても治療できる環境を整えている。
「なかざわ腎泌尿器科クリニック」公式サイト:https://www.nakazawa-cl.jp/

(フロントロウ編集部)

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