朝と夜の運動それぞれによってプラスαで得られるメリット
運動する人の中で大きく分かれるのが、朝派と夜派。ライフスタイルやスケジュール、好みによって、午前中~日中に運動する人と夕方~夜間に運動する人に分かれる。
朝と夜のどちらに運動するほうがいいのか?という論争はたびたび巻き起こるが、基本的に時間帯によって運動それ自体の効率は変わらないとされている。海外の超有名フィットネストレーナーのジリアン・マイケルズ氏も、「トレーニングに正しい時間も不正解の時間もありません」と米Shapeで断言している。
その上でぜひ知ってほしいのが、時間帯によってプラスαで得られるメリット。朝の運動には朝の運動ならではのメリットが、夜の運動には夜の運動ならではのメリットがあるのだという。それぞれのメリットについて専門家たちが明かした。
朝の運動:1日を通して集中力が高まる
多くの専門家が挙げている朝の運動のメリットが、1日を通して集中力が高まりやすいこと。
マイケルズ氏は、「1日のはじめにトレーニングすると、残りの時間の集中力が向上することがさまざまな研究で分かっています」と説明。朝に体を動かすことで、勉強や仕事に集中して打ち込みやすくなるのだという。
British Journal of Sports Medicineに掲載された2019年の研究では、朝の適度な運動によって、脳の記憶と学習に関わる分子やワーキングメモリの増加が期待できるという研究結果もある。
朝の運動:1日を通して活力的に過ごせる
1日中活力的に過ごせるというのも、朝の運動によってプラスαで得られるメリット。ここで関係してくるのが、じつはプラスの作用のあるストレスホルモンのコルチゾール。
健康的な人の場合、コルチゾールの分泌量は体内時計と連動していて、朝が最も高く夜が低くなる。これによって朝に体がシャキっと目覚め、夜には休息状態になってぐっすり寝ることができる。
米国認定ウェイトリフティング スポーツ パフォーマンス コーチのアレナ・ルチアーニ氏は、「体を動かすことは体にプラスのストレスを与え、コルチゾールまたはストレスのレベルをわずかに上昇させるため、エネルギーレベルが上がり活力がアップします」と説明。
元々朝に自然に高まるコルチゾールのレベルと、運動によって誘発されるコルチゾールの増加が組み合わさることで、さらに目覚めたようにエネルギッシュに活動できるようになるのだという。また午前中にコルチゾールのレベルを高めておくことで、より夜ぐっすりと眠れるようになると補足した。
夜の運動:ストレスを発散できる
1日の始まりではなく終わりに近い夜の運動では、その日に溜まったストレスをしっかり発散できるというメリットがある。
マイケルズ氏は、「運動はストレスの発散や不安のはけ口にするのにもってこいです。夜に運動することで、その日に感じたストレスを吹き飛ばすことができるはずです」と明かした。
またリラックスタイムへの切り替えのスイッチを担ってくれるというメリットも。運動生理学者のシャロン・ガム博士は、「夜の運動にはメンタルヘルスのメリットが多く、その1つが心と体をリラックスタイムに導く切り替えができるというものです」と説明。仕事後にも仕事のことを考えてしまうといった場合、運動することで気分が切り替わりやすくなるそう。
夜の運動:怪我の心配が少ない
夜の運動では、怪我をする心配が少ないというメリットも。なぜなら注意力が散漫になりにくいから。
ルチアーニ氏は、「夜の運動の場合、すでに朝食や昼食を経て体にエネルギーが満ち溢れている状況であることが多いです。そのため注意力不足やエネルギー不足、脱力感が少なく、怪我のリスクも少なくなります」と明かした。
怪我のリスクだけでなく、運動のパフォーマンスやパワーも上がりやすいというデータも多く、そのため競技のための記録を伸ばしたい、重量を上げたいといったときは夜の運動を試してみるようアドバイスした。
朝と夜の運動で得られるそれぞれのメリット。運動を日常的に取り入れている人はぜひ覚えておいて。