メンタルヘルスをめぐるスティグマについて
一方で、メンタルヘルスにはスティグマ(汚名)がついてきますよね。メンタルヘルスの調子が悪いことを打ち明けるのは恥だとか…
「苦しいんだ」って言うこともそうだよね。
そうです。そういうスティグマにはどのように対処してきたのでしょう?
闘いを挑むまでだね。コミュニティを創るんだ。それがスティグマにならない世界をね。ヤングブラッドが大きくなれたのは、そのおかげだと思う。ここなら、どう感じていようと関係ない。不安を感じていたとしても、苦しんでいたとしても、周りから変わり者(ウィアード)と思われていたとしても、ここでは君を受け入れるから。この世の中が君を受け入れないなら、自分たちで世界を創ってやろうよ。そう思わない?
個人としては、プライベートでは普段はどうやってメンタルヘルスのケアをしていますか? 心から健康でいるためにやっていることなどあるのでしょうか?
セラピーに行くようにしていることかな。それはすごく助けになっているよ。それから、ファンベースとの繋がりも。音楽を書くのは、心の健康を保つためでもあるような気がする。捌け口があるようなものかな。痛みが創られたら、絵を描いたり、文章を書いたりしている。常に何かするようにしているよ。
そうやって書かれた歌詞はものすごくリアルですよね。例えば『ヤングブラッド』の「Tissues」で繰り返される、「また恋に落ちる/そして明日には悲しくなる(I'm in love again, and tomorrow I'll be sad)」とか。
(グータッチをこちらに差し出しながら)分かる!? クレイジーだよね! あの曲については、俺はずっとニューウェーヴの音楽が好きだったというのがあってね。ザ・スミスとか、ザ・キュアー、ジョイ・ディヴィジョンとかが大好きで、それは俺の大部分を構成しているんだけど、多くの人たちはそれを知らなかったんだよね。多くの人たちは、俺はパンクだけが好きみたいに思っていたんだけど、子どもの頃は踊るのも大好きだった。だから、ダンスしたかったんだよ! 怒りを込めるのではなく、悲しみのなかでダンスしたかった。
だって誰もが愛を感じたいと思っているから
みんな愛されたいと思っているんだ
「Tissues」歌詞抜粋
「また恋に落ちる/そして明日には悲しくなる」っていうフレーズは、歌詞というよりも、感情に近い。正直に言うけど、俺がずっと抱えてきたものなんだ。このコーラスの部分は5年前からできていたんだけど、ようやくそれに合う曲が見つかった。今は気分が優れているけど、また闇が襲ってくることが分かっているっていうね。また気分が沈んでいくはずって、自分のなかで分かってしまうんだよね。