あらゆる社会的な“標準“に囚われることを嫌い、徹底して自分らしさを貫くその姿勢が、同世代の多くの男性ファンたちを含む“ありのままの自分でいたい“と願うあらゆる人たちを惹きつけてきたヤングブラッド。彼が来日したタイミングでインタビューを実施し、メンタルヘルスをめぐるスティグマ(汚名)や、“男は強くあるべき“などという社会的な男らしさが男性たちを苦しめるトキシック・マスキュリニティ(男らしさの呪縛)などについてトーク。社会の呪縛を拒みながら、無防備なありのままの自分でいることの大切さを力強く語ってくれた。(フロントロウ編集部)

ヤングブラッドらしい歌詞を書く秘訣とブリング・ミー・ザ・ホライズンとの友情

『ヤングブラッド』をリリースして以降にリリースされてきたシングルについても訊いていきたいのですが、最新シングル「Happier」の「俺の気持ちを君に伝えられたら/君もまだ傷ついているのは知っているから(If I could tell you how I feel, I know that you are still hurting too)」というフレーズも、コミュニティという意味でとてもヤングブラッドらしい一節ですよね。

そうだね。ヤングブラッドとしての最高の歌詞がどんなときに書けるかというと、それは俺がヤングブラッドとしての歌詞を書こうとしていないときなんだ。目を閉じたときに、自分の後ろを音楽が急いで通り過ぎて行くときがあって、それを書き起こすことで生まれるんだよ。どう説明すればいいか分からないんだけどさ! 心から生じるものなんだ。そこに炎が生まれて、何かが起こる。それで、マット(・シュワルツ)っていう俺のプロデューサーがいるんだけど、彼と一緒に「最高のヤングブラッドの歌詞だ!」ってなるっていう感じだよ。「god save me, but don’t drown me out」もそうだし、「mars」やマシン・ガン・ケリーとの「I Think I'm OKAY」もそうだ。説明できないけど、ヤングブラッドらしい曲たちだよ。おそらく次のアルバムに収録されるんだけど、「Zombie(ゾンビ)」っていう曲があってね。それも、これまでリリースしてきたそういう曲たちに近いね。

俺の気持ちを君に伝えられたら
君もまだ傷ついているのは知っているから
違う 俺は壊れてない
ただここにいるのが怖いだけ
幸せになるのが怖いんだ

「Happier(feat. オリ・サイクス of ブリング・ミー・ザ・ホライズン)」歌詞抜粋

それっていうのは、努力すれば自分から生まれてくるものじゃないんだ。ただ目を閉じて、感情に身を任せる。潜在意識が自分を乗っ取ったときに、生まれるマジックなんだよ。でもそれは滅多にないものだから、「それを毎日やってください」なんて言われても無理な話なんだけどさ。それは贈り物のようなものだし、自分の中から生じるリアルなものじゃないといけないからね。

言っていること分かるかい? だからこそ、辛いものがあるよね。「では、次のアルバムを作りましょう」みたいに言われるような時はさ。アルバムを1枚作るには、あらゆることを感じる必要がある。いろんなものを味わって、いろんなものの匂いを嗅いで、いろんな人に会って、セックスもしてっていうね。人生を経験する必要があるんだよ。音楽が生まれるのはそういうとき。俺が自由を感じているときなんだ。

画像6: Photo:©Sotaro Goto
Photo:©Sotaro Goto

次のアルバムという話がありましたが、『ヤングブラッド』をリリースして以降、「Lowlife」、「Hated」、「Happier」と続けてシングルとして発表されてきた楽曲たちは、次のプロジェクトに繋がるものなのでしょうか?

正直に言うと、プロジェクトというようなものはない。今年はどちらかというと、実験したり、リアルタイムで楽曲を書いたりしたかったという感じなんだ。来年の1月からスタジオに入って、次のアルバムに取り掛かる予定になっている。次の世界を創れるのが今から楽しみだよ。いずれにせよ、今年はツアーしたり、自由に探求したりっていう年にした。初めてラテンアメリカ圏に行ったり、こうして日本に戻って来たりだとかね。

“普通”の人たちの世界では 俺は猿
その人たちの顔を見ればわかる 俺をジャンキーだと思っているんだ
俺の着る物とか
俺が寝る人とか
俺の表現の仕方とか
俺が考えていることとかでね

俺は家の中に留まるよ
自分の音楽をかける
近所の奴らは俺に、音量を下げろと言ってくる

「Lowlife」歌詞抜粋

さっき挙げてくれた楽曲たちは単体のシングルだよ。今年の終わり頃にはもう1曲出そうと思っているんだけど、「Lowlife」と「Happier」、それから次のシングルは、どちらかというとミックステープという感じかな。俺がツアーに行ったり、アルバムに取り掛かっている間に、みんなに幸せやエネルギーを感じてもらうためのね。

「Happier」についてもう少し伺いたいのですが、ブリング・ミー・ザ・ホライズンとの2度目のコラボ曲になっています。彼らはどのような経緯で「Happier」に参加したのですか?

彼らとは良き友人で、連絡は常に取り合っているんだ。曲を作っていたときにオリヴァー・サイクス(フロントマン)に電話で依頼したっていう、そういうシンプルな経緯だよ。本当に良き友人なんだ。お互いをリスペクトしあっているし、一緒に音楽を作るのも大好きだから、将来的にはもっと一緒にやるんじゃないかなと思っているよ。嬉しいことだよね。自分と同じ波長を持つアーティストを見つけられるのは最高だね。それってめちゃくちゃクールなんだよ。

画像: ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリヴァー・サイクス(左)を迎えて「Happier」をリリースしたヤングブラッド。彼はブリング・ミー・ザ・ホライズンの「Obey」に参加したことがあり、それ以来のコラボ。 ©️Photo:TOM PALLANT

ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリヴァー・サイクス(左)を迎えて「Happier」をリリースしたヤングブラッド。彼はブリング・ミー・ザ・ホライズンの「Obey」に参加したことがあり、それ以来のコラボ。

©️Photo:TOM PALLANT

オリヴァー・サイクスやバンドメンバーたちが友人だというのは、あなたにとってどんなことを意味するのでしょう?

すべてだよ! 何て言ったって、俺は13歳の頃からブリング・ミー・ザ・ホライズンが大好きだったからね。分かるだろ? そんな彼らとこうして(彼らがキュレーションした「NEX FEST」に出演するという形で)日本でツアーをできたり、一緒に音楽をリリースできているんだからね。13歳の頃の俺に伝えたら、吹っ飛ぶんじゃないかな。

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