Netflixのリアリティシリーズ『ラヴ上等』シーズン2が、グローバル週間TOP10で非英語シリーズ部門の4位に初登場した。日本の、それもかなりローカルな不良文化を素材にした恋愛リアリティショーが、なぜ国境を越えたのか。(フロントロウ編集部)
香港でも台湾でも1位。シーズン1から順位を上げた
Netflixが発表した8月3日〜9日の週間ランキングで、8月4日に配信が始まった『ラヴ上等』シーズン2が非英語シリーズ部門の4位に入った。日本だけでなく香港と台湾でも週間1位を獲得し、シンガポールと韓国でもTOP10入り(それぞれ3位、4位)を果たしている。

この数字は、シーズン1からの明確な伸びだ。2025年12月に配信されたシーズン1の初登場は、同じ部門で8位だった。それでも日本国内では週間TOP10で4週連続1位、韓国でも4週連続でTOP10に入り、日本発のアンスクリプテッド(筋書きのない物語)としては異例の広がりを見せていた。韓国・釜山で開かれたアジア最大級の配信コンテンツの祭典「Global OTT Awards 2026」では、ベスト・リアリティ&バラエティ部門の最優秀賞にも選ばれている。
番組の中身は、身も蓋もなく言えば「ヤンキーの恋愛合宿」だ。喧嘩っ早く、感情の起伏が激しく、生い立ちに重いものを抱えた男女が共同生活を送り、本気で恋をする。それだけの企画が、なぜ日本語のわからない視聴者にまで届いたのだろうか。
舞台は沖縄の「羅武上等マリーンアカデミー」、主題歌はSPEED
MEGUMIがプロデュースを手がける本作は、全10話を毎週火曜日に3週にわたって配信するかたち。シーズン2の舞台は沖縄の海を望む学校「羅武上等マリーンアカデミー」で、九州、関西、東海、関東と、日本各地から地元を背負ったメンバー9名が集まった。
MCはシーズン1から続投のMEGUMIと永野に、沖縄県出身のヒップホップアーティストAwich(エイウィッチ)が加わった布陣。Awichにとっては初の恋愛リアリティショーのMCとなる。起用の理由についてMEGUMIは「Awichさんがくぐり抜けてきた出来事は、『ラヴ上等』を軽く超えてる」としたうえで、「シーズン2では女性のキャラクターがみんな強いので、そんなみんなの気持ちを女性の立場から視聴者の皆さんにお話いただきたいと思ってます」とコメント。Awich本人も「険しいアウトローの世界の代弁者として出演しました」と語っている。
その「女性が強い」というシーズン2の空気は、予告映像を見ればすぐに伝わってくる。「ヤクザやってました」「漢らしい漢が好き」「血祭りでしょ」といった言葉が飛び交うなか、男性メンバーにもまったく怯まずぶつかっていく女性たちの姿が収められている。

主題歌に起用されたのは、今年デビュー30周年を迎えるSPEEDの「Body & Soul」(Remastered 2026)。沖縄出身の4人組が1990年代に放ったデビュー曲のリマスター版が、番組の熱量をそのまま持ち上げる。MEGUMIは「前作よりもさらにギアをあげて、この時代にもう一度そのパワー、”今生き”のメッセージを投下したい」とコメントしており、舞台となった沖縄で感じたエネルギーがSPEEDの存在そのものと重なったと明かしている。

MCを続投した永野は「シーズン1とはまた別物として見てほしい。普通の恋リアとは違って、人生について深いことを考えられる作品なので見るべきです」とアピールしている。
海外が呼んだ「日本版ジャージー・ショア」
海外の反応を追うと、繰り返し引き合いに出される作品がある。MTVの『ジャージー・ショア』だ。
米セマフォーは配信直後の記事で、ジャパン・タイムズによる「MTVの『ジャージー・ショア』に対する日本からの答えのように感じられる」という評を紹介している。蔑まれてきたサブカルチャーを真ん中に据え、視聴者に「もっとよく見てみろ」と迫った番組、という位置づけだ。同記事は本作の描き方についても、出演者が殴り合い寸前まで衝突する一方でトラウマや後悔と向き合う、激しくも誠実な人物描写だと評している。
シーズン2についても評価は落ちていない。米レビューサイトのBut Why Thoは10点満点中8点をつけたレビューで、序盤から関係性が動き出すテンポの速さと、沖縄の風景を捉えた映像の美しさを挙げている。パキスタン系と日本のルーツを持つ参加者アリーを通して、アウトローの世界にも差別があることが描かれている点にも触れており、日本の内輪の話に見えて、海外の視聴者が自分の社会に引きつけて読める入口があるということなのだろう。
そもそも「ヤンキー」という存在は、『東京リベンジャーズ』などのアニメや漫画を通じて、すでに海外に浸透していた。番組を語る海外メディアの多くがそうした作品に言及しており、海外の視聴者にとって本作は未知の文化の紹介ではなく、フィクションで見慣れた存在の「本物」を確認する機会でもあったようだ。
もっとも、その本物はもう危険な集団ではない。AFPが今年4月に配信した特集記事によると、暴走族の構成人員は1982年のピークから2024年には5,880人まで、およそ9割減っているという。実社会での脅威が薄れたぶん、ヤンキーは恐怖の対象から、作品として楽しめる存在へと変わった。同記事ではエンタメ評論家の徳力基彦氏が、テレビ局はヤンキー文化を肯定していると批判されるリスクを避けてきたと指摘しており、配信だからこそ成立した題材ともいえそうだ。
5〜7話では、るるが”漢部屋”にカチコミ
8月11日に配信された5〜7話では、複数の男性から想いを寄せられるひかるへの不信感から男性陣がざわつき、まりりんへの男性メンバーの言動をきっかけに女性陣の感情が爆発。怒りを募らせたるるが、単身で”漢部屋”に乗り込む展開となった。

一方で「道徳」の時間には、転校生のはーちゃんとかずくんが壮絶な家庭環境を打ち明ける場面も。それに背中を押されたるるが、長年反発してきた実母へ電話をかける展開へとつながっていく。
こうした参加者たちの姿が「人は変われる。一緒なら。」というメッセージと重なるとして、番組は法務省保護局が推進する「更生保護」ともコラボレーション。全国の更生保護官署などにポスターが掲出されることも決まった。

Netflix公式YouTubeチャンネルでは、最終話の配信を前に男子会(MC・永野)と女子会(MC・MEGUMI)の配信も予定されている。
なお、シーズン1に出演したおとはさんはAFPの取材に「憧れてほしいんじゃなくて、反面教師にしてほしい」と語っていた。世界4位という数字の裏で番組が引き受けているのは、たぶんその距離感なのだろう。Netflixリアリティシリーズ『ラヴ上等』シーズン2は独占配信中。
















