新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、海外セレブたちも予防のための策を講じている。ウイルスの脅威に怯える人々を励まし、感染拡大の阻止や検査・治療のために役立てて欲しいと寄付を行なうセレブや企業も続々。著名人や大手企業、ブランドの取り組みを特集。(フロントロウ編集部)

イベントや撮影が中止・延期に

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、WHO(世界保健機関)は、各国は今後起こり得るパンデミック(世界的流行)への「準備段階」に入るべきだと警告。日本でも政府が大規模なスポーツや音楽イベントについて2週間程度の中止・延期・規模縮小を要請するなか、数多くの有名アーティストが公演の休演や延期、中止を発表している。

 海外でも、4月に開催が予定されていた、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の中国プレミアが中止されたほか、ヨーロッパでは最も感染者数が多いイタリアで行なわれていたトム・クルーズ主演映画『ミッション:インポッシブル』の最新作の撮影が急遽中止に。

画像: 2018年に公開された映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のワンシーン©PARAMOUNT PICTURES / Album/Newscom

2018年に公開された映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のワンシーン©PARAMOUNT PICTURES / Album/Newscom

画像: 日本では5月に公開される映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の海外版ポスター。

日本では5月に公開される映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の海外版ポスター。

 ファッションウィークでも、イギリス・ロンドンで行なわれたバーバリー(Burberry)のファッションショーでは、アジア太平洋に居住するセレブやインフルエンサーの招待が見送られたり(※)、イタリア・ミラノでは、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)が、観客を入れずに空っぽのシアターでファッションショーを行なうといった独自の方法で感染拡大を防ぐ取り組みを行なった。

※WWDは日本を含むアジア太平洋に居住するジャーナリストやバイヤーなどの入場は可能だったと伝えている。

「無観客」のファッションショー会場でランウェイを歩いたモデルたちと記念撮影をするデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏。


セレブも各々の対策を講じる

 そんななか、欧米を拠点に生活するセレブリティたちも、各々で対策を講じるとともに、人々に注意を呼びかけている。

 風邪の予防や花粉症にも頻繁にマスクを用いることが多い日本を含むアジアの国々と比べ、アメリカやカナダといった北米やイギリス、フランスといったヨーロッパの国では、通常ならば、街ゆく人がマスクを着用している光景を目にする機会はかなり少ないが、新型コロナウィルスの脅威に不安を感じる人が増えるなか、欧米でもマスクの需要がうなぎ上りに。

画像: セレブも各々の対策を講じる

 米疾病管理予防センター(CDC)は、現時点では、一般人にマスクの着用を推奨しておらず、専門家は、流行の拡大を防ぐにはマスクの着用よりも適切な手洗いのほうが重要なケースが多いとNew York Timesに説明しているが、アメリカではインフルエンザが大流行していることも相まり、とくに渡航の際の空港や機内など、世界各国からやってきた人々が行き来する場所では、少しでも感染予防になればとマスクを着用する人が増えている。

 映画『あの頃ペニー・レインと』や『10日間で男を上手にフル方法』などで知られる俳優のケイト・ハドソンは、「2020年の旅の仕方」というコメントつきで、移動中の飛行機内でマスクを着用する姿を撮影した写真を公開。

 映画『アイアンマン』シリーズや『アベンジャーズ』シリーズといったマーベル作品にも出演する俳優のグウィネス・パルトロウもケイトと同様に機内で黒いマスクを着用する写真を公開し、「パリに向かってる。考えすぎ?用心しすぎ? 混乱してる? それとも冷静? パンデミックですって? プロパガンダ(宣伝活動)みたい?…私は、とにかく先回りして、飛行機ではこれ(マスク)を着けて寝るわ」とコメント。

 さらに、自身が出演した、世界的パンデミックを題材にした2011年のスリラー映画『コンテイジョン』が新型コロナウィルスの流行を受けて視聴者数を伸ばしていることに触れ、「もうこの映画には出た」というジョークを盛り込みながらも、「みんな、どうか安全でいて。握手はしないほうがいい。頻繁に手洗いをしてね」とフォロワーたちに注意を呼びかけた。

 そのほかにも、リアリティスターのキム・カーダシアンは、防災グッズなどを展開するブランドを運営する友人から贈られたという、マスクや手袋が入った非常用キットにくわえ、免疫力をアップする目的でビタミンCのタブレットを持参して渡航していると明かしているほか、ラッパーの50セント独自の予防策を講じる様子をインスタグラムで公開している。

画像: ©Kim Kardashian/ Instagram

©Kim Kardashian/ Instagram

 シンガー兼俳優のセレーナ・ゴメスは、シカゴで行なわれた実録犯罪マニアたちが多数集まるイベント「クライム・コン(Crime Con)」にお忍び参加したことをインスタグラムを通じて報告した際、公開された写真のうちの1枚にマスクを着用した姿のものが含まれており、人が多く集まる場所に出向くため、念のために予防策を講じたものとみられている。

画像: ©Selena Gomez/ Instagram

©Selena Gomez/ Instagram


相次ぐ寄付や励ましのメッセージ

 自らの影響力を活用し、世間に向けて注意を呼びかけたり、最も感染者が最も多く、たくさんの人が自宅待機を余儀なくされている中国に宛てて、励ましのメッセージを送り、感染拡大防止や感染者の救済に役立てて欲しいと寄付を行なうセレブもいる。

 シンガーのジャスティン・ビーバーは、インスタグラムに投稿した動画を通じて、「中国は今、危機に直面しているけれど、僕はみんなのために祈ってる」とエール。

 さらに、「自分の妻や家族、友人がこの新たな病気におかされたら、どんなに恐ろしいだろうと思いながらニュースを見ている。中国のみなさん、僕らは、人類共同体として、あなたたちをサポートします」と北京春苗慈善基金会に約300万円の寄付を行なったしたことを報告した。

 2013年からユニセフ親善大使を務めるシンガーのケイティ・ペリーは、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長のツイッターを通じて、新型コロナウイルスの脅威にさらされている中国の人たちに向けて、いち早くメッセージを送った

 「大変な時期だとは思いますが、私たちの心はみなさんとともにあるということをこの場を借りてお伝えします。どうかあきらめずに闘い続けてください」と励ましのメッセージを述べたケイティは、「(健康な人は)頑張って健康な状態を保ちましょう。そして、できる限り前向きに考えるようにしましょう。ずっとあなたたちのことを考えています。私たちの祈りをみなさんに送ります。一緒にこの困難を乗り切りましょう」と希望を捨てないよう呼びかけた。

映画『ワイルド・スピード』シリーズに主演する俳優のヴィン・ディーゼルは、新型コロナウイルスの不安と闘うファンたちに向けて「強く生きてくれ。俺たちはいつも一緒だ。コロナの影響下にある人のために祈ってる。いつでも一緒だ」と、力強いエールを送るとともに、最も被害が大きい中国に向けて中国語で「中国加油(中国がんばれ)」と中国語でコメントした

 South China Morning Postによると、欧米でも人気が高い韓国出身のボーイズグループ、防弾少年団(BTS)は、最新アルバムのリリースに合わせたプロモーションのため韓国国内で収録が行なわれるテレビ番組のいくつかに出演予定だが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ファンたちには収録会場には来ないで欲しいと呼びかけているという。

画像: 相次ぐ寄付や励ましのメッセージ

 BTSはアルバムリリースに先がけた会見でも、記者を招待せず、空っぽの会場にメンバーやスタッフだけが集まり、事前に寄せられた質問に答え、その模様をYouTubeで配信するといった方法を選んだ。

 さらに、マイクロソフト創業者であるビル・ゲイツ氏とメリンダ夫人が運営する財団「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」は、新型コロナウイルスにより危険にさらされている人々の保護やワクチン、治療法、診断方法の研究開発を支援する目的で約112億円を中国とWHOなどに寄付することを発表。

 ファッション業界では、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やシンガーのリアーナが立ち上げたアパレルブランドFENTYをの親会社でもあるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン社や、グッチ(Gucci)やサン・ローラン(Saint Laurent)を有するケリング社、ビューティー業界では、ロレアル(L‘OREAL)やエスティ・ローダー・カンパニーズ(Estée Lauder Companies)、食品業界ではマクドナルドやバーガーキング、金融業界ではJPモルガン・チェースといった大手企業が、現在までに、それぞれ数億円の寄付を行なっている。(フロントロウ編集部)

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