ボディ・ポジティブについて声をあげてきたリゾ
今年1月に開催された第62回グラミー賞で最多となるノミネーションを獲得するなど、現在の音楽シーンを代表するアーティストの1人となったリゾは、これまで「体形批判(ボディシェイミング)」の問題にも積極的に声をあげてきたことで知られている。
今年6月に、ワークアウトをしているところを収めた動画をSNSに投稿した際にも、「ここ5年間、ワークアウトを続けているんだけど、あなたたちの中にはこのことに驚く人もいるかもね。私はあなたたちの理想の体型になるために運動しているわけじゃないから」と発言するなど、ありのままの体型を愛することを推奨するボディポジティビティのメッセージを発信し続けてきたリゾだけれど、彼女には現在の“ボディ・ポジティブ”という言葉の使われ方について思うところがあるよう。米Vogueとインタビューを行なったリゾが今回、ボディ・ポジティブという言葉についての持論を語った。
ボディ・ポジティブが「商業化されてしまっている」と警鐘
インタビューのなかで、ボディ・ポジティブが話題にあがると、「商業化されてしまっているよね。今では『ボディ・ポジティブ』というハッシュタグを辿ってみると、小ぶりで、クビレがあるような女の子たちを見つけられる。たくさんの白人女性たちをね」として、ボディ・ポジティブが従来の文脈から外れたところで使われるようになってきたとリゾ。
「背中に贅肉が付いていたり、お腹の肉が乗ってしまっていたり、両方の太ももの境目が分からなくなっていたり、そういうのが組み合わさったような女の子たちのことだよ。お腹に線が出きているようなね……彼女たちこそ、ボディ・ポジティブが及ぼしてくれる効果の恩恵を受けるべき」と、リゾはボディ・ポジティブという言葉は本来であれば太っている女性たちのために用いられるべきだと指摘した。
「だけど、メインストリームになるとすべてのことに言えることとして、変化してしまうということがある。受け入れられやすいものへと変わってしまうの」と続けて語り、ボディ・ポジティブという言葉が多くの人たちに受け入れられやすい意味へと変わっていったとリゾ。
「今は、ただボディ・ポジティブだとは言いたくない。それってすごく陳腐なことだと思う」と語った彼女は続けて、「標準」を意味する“normative”という言葉を用いながら「私はボディ・ノーマティブ(body-normative)と言いたい。私は自分の身体をノーマルなものにしたいの。『このムーブメントはクールだね。太っているのはボディ・ポジティブなんだ』というのではダメ。太っているのは、『ノーマル』なの」とキッパリ。太っていることをただ前向き(ポジティブ)に捉えるのではなく、「ノーマルなこと」として捉えるべきだと提言した。
「これを始めてくれた人たちのためにも、ここで立ち止まってしまってはいけないと思う」とリゾ。「私たちは変化し続けていくために、もう一度人々を不快な気持ちにさせないといけない。ほら、変化はいつだって不快なものでしょう?」と続けて語り、これからも積極的にボディ・ポジティブのテーマに取り組んでいく姿勢を示した。(フロントロウ編集部)