“新・ご意見番ママ”のホールジー
米TIME誌が発表した2020年版「世界で最も影響力のある100人」の1人に選出されたシンガーのホールジー(Halsey)(26)は7月14日に恋人で脚本家のアレヴ・エイディンとの第1子エンダー・リドリー・エイディンを出産。
過去には、不妊につながるケースも多い子宮内膜症と診断され、3度の流産や複数回にわたる手術を経験したことを公表していたホールジーが待望のベビーを授かったという報せは世界中のファンたちに幸せを届けた。
夢にまで見た妊婦生活が決して理想通りにはいかなかったことなどを赤裸々に明かし、8月27日にリリースするニューアルバム『IfI Can't Have Love, I Want Power(イフ・アイ・キャント・ハヴ・ラヴ、アイ・ウォント・パワー)』では“妊娠と出産にまつわる喜びと恐怖”や女性の性と母性の両立について歌っているというホールジー。
同作のカバービジュアルには、社会に根強く残る女性たちの産後の体型や授乳に対する偏見をなくすための一翼を担いたいという想いを込めて、片方の乳房を露出し、腕に赤ちゃんを抱いた、授乳を連想させるアートを採用。
さらに、アルバムリリースに先立ち、同作の世界観を表現した約1時間のIMAX映画が世界各国の映画館で公開される。
妊娠~出産までの自身の体験をさまざまな形で発信するホールジーは、最近ママになったハリウッドセレブたちの中でも、もっとも率直でポジティブなメッセージを発信する“新・ご意見番”として視線を集め始めている。
公園での「授乳写真」を公開
そんなホールジーが、8月1日から始まった世界母乳育児週間(World Breastfeeding Week)に合わせてエンダーに授乳する写真を公開。
「#worldbreastfeedingweek」というハッシュタグを使い、「私たち、ちょうど間に合ったよ! 」というコメントを添えた1枚には、公園の芝生の上に座ったホールジーがエンダーをしっかりと抱き、授乳ケープも使わずに堂々と授乳する姿が写っている。
ママたちが人目をはばからずに公共の場所で授乳をすることに対しては、欧米でも眉をひそめる人はいる。しかし、近年、「授乳を性的なものとしてとらえるのはやめよう」「授乳は赤ちゃんにとっては普通の食事風景」と“ノーマライズ(標準化)”を叫ぶ声もあり、公園という他人の目がある場所で、ごく自然に授乳する様子を公開したホールジーには賛成派から称賛の声が上がっている。
世界母乳育児週間とは?
世界母乳育児週間(略称:WBW)は、より多くの人たちに母乳育児の重要性を知ってもらい、関心や理解を深めることを目標に1992年に制定されたもので、通常は8月1日からの7日間に開催(※)。2016年からは国連のSDGs(持続可能な開発目標)に合わせて「WBW-SDGsキャンペーン」とも呼ばれるようになった。
※ヨーロッパやカナダ、ブラジルなどでは、10月に母乳育児週間を実施している
世界母乳育児週間中には、ホールジーのようにハッシュタグを活用してSNS上で授乳中の写真を公開するママたちが続々。母乳育児の素晴らしさを伝える一方で、身をもって体験するまでは知る由もなかった授乳の苦難や陰の努力、孤独について語り合う人たちもいる。
さまざまな病気と闘う免疫や生きるために必要な栄養を効率よく供給することができる母乳は、赤ちゃんにとって「最初のワクチン」と言われ、授乳は母親との絆を深める大切なコミュニケーションでもある。
いろんな事情により母乳育児ができないor続けられないママも多く、乳児用ミルクがどんどん進化を遂げるなか、昨今では、母乳による育児だけがベストだとする“母乳神話”に縛られる必要はないという考えも広まっているが、母乳育児を行なっているママたちがより安心して心地よく授乳ができる環境を整えるというのも大切。
ママになったばかりのホールジーは、影響力を持つ自分の立場を活用して、早速、自身と同じように母乳育児をしているママたちに遠回しにエールを送ったということになる。(フロントロウ編集部)