アストロワールドで9人目の犠牲者
現地時間11月5日に米テキサス州ヒューストンのNRGパークで開催されたトラヴィス・スコット主催のフェスティバル「アストロワールド」で起きた悲劇に巻き込まれて、病院に搬送された22歳の女性が亡くなった。この悲劇に関連した9人目の犠牲者となった。
米TMZによれば、亡くなったのは地元の大学に通う4年生で、悲劇に巻き込まれた際に負った怪我が原因で亡くなったという。女性は病院に搬送後に脳死状態となっていたという。
アストロワールドでは、ヘッドライナーを務めたトラヴィスがパフォーマンスを行なっていた際にステージ前方に観客が殺到したことが原因で、これまでに8人が亡くなり、300人以上が負傷する大惨事が起きていた。
パフォーマンス中には、会場の異変に気がついたトラヴィスが何度かパフォーマンスを中断する場面もあったものの、パフォーマンスを中止することはせず、続行していた。トラヴィスには、もっと早い段階で中断できたはずだとして批判の声も寄せられたが、一方で、トラヴィスは惨劇を受けて発表した声明で、自身の側からは事態の深刻さは見えていなかったとした。
トラヴィス・スコットら主催者への訴訟は50件を超えることに
米CNNの報道によれば、現地時間11月10日の時点で少なくとも58件の訴訟がトラヴィスら主催者に対して起こされているという。トラヴィスは、会場で悲劇が起きていることが明らかになってからも40分にわたってパフォーマンスを続けたとされている。
地元警察署長のトロイ・フィナー氏は現地時間11月10日に開いた記者会見で、現時点ではこの悲劇に関連して誰かが罪に問われるかは判断できないとして、解明には「数週間か数ヶ月を要する可能性がある」とした。
また、悲劇に関連して、会場で警備にあたっていた警備員が、パニックになった観客たちを抑えようとした際、注射針のようなもので射されて薬物と見られる何かを注入されたという発表もあったが、フィナー氏は、薬物を注射されたという証拠はないものの、頭部を殴られて意識を失ったと見られるとした。
トラヴィスは、今回の惨劇を受けて6日に予定されていたフェスティバルの2日目をキャンセル。全員にチケット代の払い戻しを行なうことや、犠牲者の葬儀費用を負担すること、今回の悲劇で心理的にダメージを負った参加者に無償でセラピーを提供することなどを発表すると共に、今後も他の支援もするつもりであることを表明している。(フロントロウ編集部)