ジョークの瞬間の夫妻の反応は違った？
じつはクリスがジョークを言った瞬間、ジェイダとウィルの反応は異なっていた。
クリスが「ジェイダ、大好きだよ。『G.I.ジェーン2』で見るのが待ちきれないよ」と言った瞬間、笑顔だったジェイダの表情はこわばり、欧米で“まったく”と呆れたときにする、両目を上にぐるりと上げる“eye roll”という仕草をした。一方のウィルは、最初はこのジョークに笑っていた。
ジョーク直後のウィル・スミス＆ジェイダ・ピンケット・スミス夫妻の表情。
その後、笑うウィルの隣でジェイダが白けた顔でクリスをにらみつけた後、画面が切り替わるとウィルがステージに上がっていったため、ウィルはジョークが妻を傷つけたことを知って態度を変えたよう。
本当にビンタしていた？
ウィルがクリスの顔をビンタしたときはものすごいスピードだったため、視聴者の中では「本当に当たっていたのか？」とする声もあったが、これは本当に当たっていた。
フロントロウ編集部でもスローモーションで放送を確認してみたが、ウィルの手はしっかりとクリスの頬をとらえており、クリスの顔が右後ろにはじかれるのが映っている。さらに、叩かれた時の衝撃をクリスの胸元のマイクが拾っており、放送では「ドンッ」という音が聞こえていた。
セレブたちは台本だと思っていた？
アワードでは台本による“ヤラセ”は演出上よくあること。例えば、2009年のMTV VMAでコメディアンのサーシャ・バロン・コーエンが映画『ブルーノ』で演じるゲイのファッションレポーター役に扮して誤ってエミネムの上に落下する“放送事故”があって激怒したエミネムが退席した騒動は、のちに台本だったことが明かされている。
それだけに、今回ウィルがクリスをビンタした瞬間、会場からは拍手や笑いや歓声があがっていた。もちろんビンタに驚く人もいたが、台本だと思っている人は多かった。
その後全員が“リアル”だと気づいた瞬間は、ウィルが「俺の妻の名前を言ってんじゃねぇ！（Keep my wife’s name out of you f**cking mouth）」とFワードを使ってクリスに怒鳴った時。Fワードは放送禁止用語。生放送では絶対に使ってはいけないワードのため、この瞬間に全員がことの重大さに気づき、会場からはざわめきが聞こえ、ウィルが再びFワードを使って同じことを言うと会場は静まりかえった。
CMに入ったあとの会場の様子は？
騒動の直後のCM中は、まずは俳優のデンゼル・ワシントンとクリエイターのタイラー・ペリーがウィルのもとへ。ウィルが目元を拭うなか、2人はウィルの肩をサッサッと払って“もう忘れろ”というような仕草をしていた。ウィルはのちに、デンゼルから「人生の頂点にいるときこそ気を付けろ。そういうときに悪魔はやってくるものだ」と言われたことを明かしている。
その後ウィルが席に戻ろうとすると、俳優のブラッドリー・クーパーがウィルを呼び止めて両肩をガッとつかみ何やら話しはじめた。ウィルもそれを真剣に聞き、最後に2人は固くハグ。自分の席に戻ったウィルに側近のスタッフが話しかけるなか、今度はデンゼルがジェイダにかけより、彼女を背後からハグしてなぐさめていた。
ちなみにこの日は、別のシーンで俳優のニコール・キッドマンもウィルとジェイダのもとにいって2人とハグをして話す様子が目撃された。
今回の件では、クリスのジョークを批判する人もいれば、ウィルの行動を批判する人もいる。ウィル、ジェイダ、クリスは昔からの知人であり、それぞれが正直かつオープンにコメントすることで知られているため、少しの時間をおいて誰かが口を開く可能性は高い。
2022年は前代未聞の事件が起きただけにそちらが話題を集めてしまったが、作品賞はろう者のストーリーを伝えた『コーダ あいのうた』が受賞。ろう者のレプリゼンテーションを高める重要な受賞となった。こちらはApple TV+で観られる。（フロントロウ編集部）
