インティマシー・コーディネーターのパイオニアであるイタ・オブライエンに、フロントロウが3回に分けてインタビュー。第1回目は、LGBTQ+コミュニティを描く作品について。(フロントロウ編集部)

ステレオタイプを助長する描き方はしてはいけない

 そして、現代でも差別を受けることが多いLGBTQ+コミュニティを描くうえで気をつけなくてはならないのが、ステレオタイプを助長していないかということ。彼女がインティマシー・コーディネーターを務めた『IT'S A SIN 哀しみの天使たち』は、エイズ危機に襲われた80年代のロンドンが舞台であり、作品におけるセックスシーンは大きな意味を持つ。そのような作品において、制作陣とともにどう撮影を進めていったのかを、彼女は話してくれた。

画像: ステレオタイプを助長する描き方はしてはいけない

 「『IT'S A SIN』では、出演者全員がクィアコミュニティに属している。なので、私たちは、作品がステレオタイプなものにならないように気をつけました。この瞬間のこのキャラクターは誰?彼らの性的な表現方法は何?そう気をつけることで、そのコミュニティの人々を白人ばかりにしたり、ステレオタイプなキャラクターにしたりせずにいられます。

 何度も言いますが、細かいリサーチや、身体性が正しく物語に機能しているかなんです。そしてそれを振りつけに組み込めば、俳優たちは集中でき、その瞬間が何についてなのかを完璧に理解できる。それが出来れば、自分たちが描いているコミュニティに敬意を払う、非常に良いシーンが撮れるのです」

 脚本も、キャスティングも、振り付けも、きちんとリサーチして、現実に正当な形で向き合えば、ステレオタイプは生まれにくい。リタの言葉からは、多くの映像作品でじつはそんな当たり前のことが出来ていなことを痛感させられる。

 イタ・オブライエンとのインタビュー第二弾では、インティマシー・コーディネーターという職業への認識が高まりはじめている日本の映像業界についてコメント。そして第三弾では、監督と衝突した過去など、インティマシー・コーディネーターとしての経験を明かした。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.