2023年で第80回という節目の年を迎えるゴールデン・グローブ賞で、59年間続く伝統が異例の“実施無し”となった。その背景には、ハリウッドで不穏な注目を集める2つの問題があった。(フロントロウ編集部)

HFPAは“ボイコット上がり”でリスクが大きい時期

画像: 2016年にゴールデン・グローブ・アンバサダーを務めたのは、ジェイミー・フォックスの娘。

2016年にゴールデン・グローブ・アンバサダーを務めたのは、ジェイミー・フォックスの娘。

 HFPAは2021年のLA Timesの暴露記事で、受賞者を選ぶ会員に黒人がひとりもいないことが発覚して大炎上。さらには、作品側から接待を受けてノミネートを不正に決めていたという疑惑も出た。これを受けて、ワーナー、Amazon、NetflixといったスタジオがHFPAに抜本的な改革を求め、HFPAが変わらなければ“一緒に仕事はしない”とボイコットを宣言した。

 セレブ界からの風当たりも強く、ゴールデン・グローブ3冠の俳優トム・クルーズは抗議の意味を込めてすべてのトロフィーをHFPA側に返却。2022年の式典はテレビ局に放送してもらうことができず、さらにはセレブも出席拒否したことから、テレビ放送は見送られた。

 事態を受けてHFPAは改革を約束し、2021年、約90名だった会員に新たに21名を追加。新会員の内訳は、女性52%、ラテン系19.5%、アジア系12%、黒人10%、中東系10%だと明かした。

 2023年の式典には多くのセレブが出席するが、まだまだみんなHFPAの行方を見定めているところ。昨年はゴールデン・グローブ賞を完全スルーしたNetflixは、今年は"Celebration Toast(意味:お祝いの乾杯)"という関連イベントを開催したが、イベント名にゴールデン・グローブ賞の名前を出していないあたり、距離を取っていることが伺える。

 その動きに世間から厳しい目が向けられている状態のゴールデン・グローブ賞にサポート役として関わるのは、プラスよりもリスクの方が大きい。流れ弾を受けないためにも、今はオファーを受けてもイエスという2世セレブは少ないだろう。

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