元ワム!のメンバーである故ジョージ・マイケルの自伝映画の計画。主演を務める俳優の名前が浮上するなか、その配役に待ったがかかったり、遺族が声明を出したりと、早くも黄色信号が出ている。(フロントロウ編集部)

「また」とストレート・ウォッシングに批判が集まる

 テオがジョージ・マイケルを演じるかもしれないというニュースを、LGBTQ+のニュースを中心に扱うメディアThe Advocateがインスタグラムにアップすると、それに、LGBTQ+であるシンガーのアダム・ランバートが反応。

画像1: 「また」とストレート・ウォッシングに批判が集まる

 アダムは以前からジョージの伝記映画を見たいと語っており、ジョージ役を演じたいと英Metroのインタビューで明かしたこともあった。そんなジョージ役の進展に喜んでいるのかと思いきや「またストレートの人がゲイのアイコンを演じるんですね。やったー」と皮肉交じりにコメント。

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 ハリウッドでは依然、LGBTQ+であることをカミングアウトすると与えられる役が限定されるという問題が続いている。そんななか、ストレート/シスジェンダーの俳優がLGBTQ+の役まで演じてしまう「ストレート・ウォッシング」は、LGBTQ+の俳優のチャンスをさらに奪ってしまっているというが問題視されている。この問題については、“グレー”だとする役者(クリステン・スチュワート)もいれば、もうLGBTQ+の役は演じないと宣言している役者(ダレン・クリス)、そもそも役者のセクシャリティを詮索するべきではないとする役者(ベネディクト・カンバーバッチ)など、俳優の間でも意見が割れている。

ゲイの“アイコン”をストレートの役者が演じる問題点とは

 アダムはその後、米Varietyにストレートの俳優がゲイの役を演じることについて聞かれて、論点をこう説明した。

 「私が皮肉交じりにした実際のコメントは、ストレートの俳優がゲイの“アイコン”を演じることについてです。少し違うますよね。私は決してゲイのキャラクターはゲイの俳優が演じるべきだとは思っていません。それはおかしいと思います」

画像: ゲイの“アイコン”をストレートの役者が演じる問題点とは

 「クィアの人間として、多くの機会が閉ざされてきました。このような物語が語られるようになっていることは大きな前進ですが、将来的にはカミングアウトしている俳優が主役に挑戦する姿を観ることができればと思います。まだあまり観る機会がないですから」

 「 『これは演技だから。そう言うなら、ゲイの俳優はゲイの役だけ演じてるべきだってことか』と否定する人たちもいますが、例えば(LGBTQ+である)クリステン・スチュワートが(LGBTQ+ではない)ダイアナ妃役で素晴らしい演技を見せましたよね。ただ現代においては、そのようにLGBTQ+の人が非LGBTQ+のキャラクターを演じることが限りなく少ないのです。だから私はただ、平等な機会が欲しいだけなのです」と、LGBTQ+の俳優に非LGBTQ+の主人公を演じる機会が少ないなかでは、せめてゲイのアイコンは当事者が演じるべきだと思っているという持論を展開した。

 ちなみに、LGBTQ+アイコンであるフレディ・マーキュリーを題材とした映画『ボヘミアン・ラプソディ』やエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』ではそれぞれ、主演を演じたのはどちらもストレートの俳優だった。

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