リナ・サワヤマが初となるジャパンツアーを開催。エンパワーメントに満ちていた最終日の東京公演の模様をレポート。(フロントロウ編集部)

「安全でリスペクトに満ちた場所にしてください」と呼びかけたリナ

 大きな拍手に包まれながらオープニングを飾ったのは、『ホールド・ザ・ガール』の1曲目でもある「Minor Feelings」。2曲目にはアルバムと同じ曲順でタイトルトラック「Hold The Girl」が披露されたのだが、このアルバムのテーマは、昨年に行なったインタビューで語ってくれたリナ本人の言葉を借りれば、「私を抱きしめてあげること”についてのアルバム」

 「内側まで手を伸ばしてあなたを抱き寄せる/あなたを1人で置いて行ったりはしない」と、自身のインナーチャイルドに呼びかける歌詞を歌う、ツアータイトルにもなっている「Hold The Girl」をパフォーマンスした後で、新潟県出身のリナは観客に、「音楽って癒す力があるなって気づきました。だから今夜はこの会場に入った時よりも皆さん、より癒されて、より幸せで、より自分らしくなって帰ってほしいです」と日本語で語りかける。

 「まずは近くの人たちにハローしてください」と、共通の目的のために集まった観客同士でお互いに挨拶してほしいと促し、「ここは安全でリスペクトに満ちた場所にしてください」と呼びかけると、会場は大きな拍手で包まれた。

画像1: 「安全でリスペクトに満ちた場所にしてください」と呼びかけたリナ

 「金曜日なのでみんなで騒いでほしいし、楽しんで行ってください」と伝えた上で、「私と一緒に出かけましょうか」と観客を自分の世界に招待した後で披露したのは、かつては複雑な感情を抱いていた時期もあった母親に宛てて、「ママ、今の私たちを見て/雲よりも遥か高くにいる/ママが誇りに思ってくれているといいな」と歌う「Catch Me In The Air」。幼少期に新潟県からイギリスのロンドンに引っ越したリナは、アジア系として苦労してきたことを隠さないが、リナと一緒にステージに立つのは、多様な肌の色をした女性たち。リナはドラマーのシモーンとギタリストのエミリーによるバンドをバックに、プロナウン(代名詞)としてノンバイナリーの人が使うことの多い“they”と女性を示す“she”をインスタグラムのプロフィールに記載しているサマーと、シャンテという2人のダンサーを従えてこの日のステージに立っている。

 稲妻のようなライトに照らされながら続けて披露した「Hurricanes」で観客のジャンプを煽り、文字通り会場を揺らしたリナは、バンドによる長めのイントロを経てダークな「Your Age」をパフォーマンスした後で、「脱ぎたくない/感情が裸になる」という歌詞に合わせるようにパーカーを羽織り、「Imagining」を披露。いずれも自身のトラウマに言及した3曲だが、リナの楽曲が観客の心を掴むのは、それが無防備な感情をとことん掘り下げたもので、心から共感できるからこそ。

画像2: 「安全でリスペクトに満ちた場所にしてください」と呼びかけたリナ

 もちろん、リナが乗り越えてきたバトルは内面との葛藤だけではない。リナは社会の理不尽とも闘ってきた。この時には赤い衣装へと着替えていたリナは、「この世界では最悪なことがたくさん起こっています。みんな怒りを感じてるでしょ? だからちょっと聞かせてよ」と観客に促して、アジア人として経験してきた差別や偏見に「黙れ!」と何度も突きつける、「STFU!」をパフォーマンス。ダークな雰囲気のなかで早いテンポでロックな楽曲が立て続けに披露されたこのセクションは、「もう一度私を一つにして/永遠に私を愛して、私を修理して/あなたのフランケンシュタインになってあげる」と切実に歌い上げる「Frankenstein」で締めくくられた。

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