宇多田ヒカルのカバーや「Chosen Family」をアコースティック披露
“聖”を表現するかの如く白い衣装へとここでチェンジして、「あなたに悪魔って言われた時、私は純粋だった」と歌う「Holy (Til You Let Me Go)」で自分らしさを肯定したリナは、「東京」という歌詞が登場する、セルフタイトルを冠した前作に収録された人気曲「Bad Friend」へとなだれ込む。「手を上げて」というコーラスに合わせて手拍子を促しながらパフォーマンスして同曲を締めくくると、ここからはギタリストと2人でのアコースティック・セッションへ。
ギタリストのエミリーとのセッションでは、ハイライトがいくつも生まれることに。『ホールド・ザ・ガール』に収録のバラード曲「Send My Love to John」をパフォーマンスするにあたり、「私の母国でこうやって6,000人の前でコンサートできるなんて、本当に信じられないし、こうしていられることを本当に光栄に思っています」と観客に感謝を伝えると、「本音で語り合いたいんですけど」と前置きした上で、リナはこう語りかけた。
「私の音楽のモットーは、ありのままの自分を受け入れるということ。でも、そんな私たちを受け入れてくれない人も時々います。私たちをバカにしたり、怒らせたり、気分を悪くしたり、悲しくなるようなことを言ってくる人もいます。時にはそういう人たちが私たちの家族であったりとか、信頼している人だったりもする。そして時にはそういう人たちが、政府や社会だったりもする。でもこの世界には、そのままのあなたを愛して、そのままの自分を受け入れてくれる人もいます。だから、諦めずに自分を貫いて生きていきましょう」
観客がスマホに灯したライトに照らされながら「Send My Love to John」を披露したリナは続けて、「次の曲はLGBTQコミュニティに捧げます」として「Chosen Family」をパフォーマンス。「遺伝子や苗字を共有していなくても家族になれる」と歌い、LGBTQ+コミュニティのアンセムとなっているこの曲だが、Setlist.fmによればこの曲は今月にジャパンツアーがスタートするまで、他の国での公演では半年以上パフォーマンスされていなかった。リナが同性同士の結婚が未だ法制化されていないここ日本でツアーを行なうにあたって、あえてこの曲をパフォーマンスすることを選んだ理由は明白だろう。「東京、きっと何もかも大丈夫になります」と曲中に語って優しく寄り添ったリナは、ここで観客が持ち寄ったアイテムにも触れて、「レインボーフラッグがたくさん見られて嬉しいです」と喜びを分かち合った。
アコースティック・セッションを締めくくったのは、この東京公演が単独ではキャリアで最大の公演であることを記念して、事前にSNSでファンに募集をかけていた邦楽曲のカバー。リナは「このアーティストがいなかったら、この曲がなかったら、私はたぶんミュージシャンとかアーティストになっていないと思っています」と、これから披露するのは自身のルーツとも言えるだと説明した上で、「しかもこのアーティスト、昨日40歳の誕生日を迎えたらしいので、それもちょっと記念に歌ってみたいなと思いました」と紹介して、宇多田ヒカルの名曲「First Love」のカバーを披露。東京公演だけで実現した記念すべき瞬間となった。