ミラクル・ベル・マジックが英語版『WILD HEARTS』なつめ役に抜擢
人種やジェンダー、セクシャリティなど世の中の多様性を、ドラマや映画、広告などで適切に描くことを意味するレプリゼンテーション(表象)。近年、映像業界などで耳にすることが増えた言葉で、海外では映像作品のキャスティングやその舞台裏を支える製作スタッフに適切なレプリゼンテーションを反映させる動きが高まっているが、その動きはゲーム業界にも広がり始めている。
その旗手とも言えるのが、2023年に発売された『WILD HEARTS』。中世の日本を舞台に、古の技術「からくり」を駆使して自然の力を手に入れた巨大な獣を相手に戦うというハンティング・ゲームなのだが、画期的なのは、登場人物たちに声をあてる声優陣の顔触れ。日本を舞台にした作品ということで、英語版の声優陣にも、きちんと日本にちなんだキャストが起用され、役によっては日本語のアクセントで英語を話している。
自らも浪人である大堂寺氏繁役で出演する俳優の松崎悠希がディレクターを務め、鍛冶師のなつめ役にアーティスト/動画クリエイターのミラクル・ベル・マジック、学者の鈴蘭役にシンガーのクリスタル ケイ、さらには俳優のケイン・コスギなど、声優陣は日本にゆかりのあるキャストで固められている。そしてこちらもユニークなのが、登場人物の話す英語。役によっては、あえて日本語っぽいアクセントを残した英語を話すというものになっていて、英語の発音という部分にまで、リアルなレプリゼンテーションが反映されている。
フロントロウ編集部では、本作が声優デビューとなった、なつめ役のベルことミラクル・ベル・マジックにインタビューを実施。独学で英語を学んできたベルは、ゲーム内でプレイヤーに武器を提供する鍛治師という重要な役どころに抜擢されたことは、キャリアにおける「ビッグステップ」になったと振り返る。
「今までだったらそういうキャラクターがいても、チャンスすら回ってこなかったのではないかな?と思う」と語るように、レプリゼンテーションを反映しようとする動きが高まっている今だからこそ得られたチャンスだったと考えているという彼女に、自身の英語観やキャリアの展望にまで影響を与えることになったという、『WILD HEARTS』のレコーディングについて話を訊いた。