フィンランド発のチャイルド・スリラー『ナイトボーン -夜哭-』が、カナダで開催された「ファンタジア国際映画祭」で最優秀作品賞と最優秀演技賞を受賞し、二冠を達成した。8月28日の日本公開を前に、本予告映像が解禁された。(フロントロウ編集部)
我が子の産声が、祝福ではなく“災い”だったら
生まれたばかりの我が子に、母親が拭いきれない違和感を覚える――。その一点から観客を最後まで引き込む映画が、8月28日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開される。フィンランドのハンナ・ベルイホルム監督による『ナイトボーン -夜哭-』だ。
物語の主人公は、子どもを望む新婚夫婦のサーガとジョン。理想の子育てを夢見た二人は、サーガの故郷であるフィンランドの森深い田舎町へと移り住む。北欧神話の気配が今なお息づく神秘的な森に抱かれ、やがて待望の子を授かる。愛する夫と我が子との幸せな暮らし。サーガはその未来を信じて疑わなかった――あの産声を聞くまでは。
解禁された本予告は、その幸福な滑り出しから始まる。「ここで母親になりたい」と微笑んでいたサーガの日常は、出産を境に静かに壊れていく。授乳中には赤ん坊に異様な力で乳首を噛まれ、腕には不可解な噛み跡が残る。「あの子は普通じゃない」と訴える彼女に返ってくるのは、「赤ちゃんって母親にとってエイリアンなの」「彼女は疲れているだけ」という言葉ばかり。育児疲れによる思い込みとして片づけられるうちに、その違和感はサーガ自身をむしばむ、得体の知れない恐怖へと変わっていく。
赤ん坊とは思えない異常な力、毛深い背中、肉をむさぼる姿、そして家の中へじわじわ侵食してくる森。異様な光景が次々と映し出され、サーガの恐怖はやがて限界を超える。狂気にも似た絶叫をあげるサーガの姿を映したあと、映像は「あの子の正体がわかった」という意味深なセリフで唐突に幕を閉じる。
モントリオールで最高賞、審査員が称賛した「ほろ苦くも美しい」結末
日本公開に先立ち、本作は日本時間7月26日、カナダ・モントリオールで開催された北米最大級のジャンル映画祭「ファンタジア国際映画祭」で、最優秀作品賞にあたるシュバル・ノワール賞を受賞した。さらに、サーガを演じたセイディ・ハーラが最優秀演技賞に選ばれ、作品賞との二冠を達成した。
映画祭の審査員団は、映画祭の審査員団は、一瞬たりとも目を離せない緊張感が全編を貫き、ラストに待ち受ける感情はほろ苦くも美しいと、本作を評価した。観客に微笑みをもたらす一方で、胸の奥には深い切なさが残り、鑑賞後も長く心に残り続けるだろうとの趣旨の言葉を寄せたと、配給側は伝えている。ホラーの体裁をとりながら、後味が恐怖一色では終わらないタイプの作品であることがうかがえる。本作は、第76回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門にも選出され、ワールドプレミア上映された。
監督のハンナ・ベルイホルムは、少女が森で拾った卵を育てるうちに、得体の知れないものが孵化する『ハッチング -孵化-』で世界的な注目を集めた人物。母と子、そして“完璧な家庭”という理想が壊れていく過程を執拗に見つめる作風は本作にも引き継がれている。主演のセイディ・ハーラは『コンパートメントNo.6』で知られる俳優だ。
ポスターに並ぶもうひとつの名前、ルパート・グリント
日本の映画ファンにとって見逃せないのが、ポスターでセイディ・ハーラと並んでクレジットされているルパート・グリントの名前だ。『ハリー・ポッター』シリーズで知られるルパート・グリントが、本作でサーガの夫ジョンを演じている。ポスターにはほかにパメラ・トラ、ピルッコ・サイシオ、レベッカ・レイシー、ジョン・トムソンの名も並ぶ。
ポスターに掲げられたコピーは「私は“なに”を産んでしまったのか」。深緑の花柄壁紙の部屋で、白いワンピース姿のサーガが目を見開いて絶叫し、その足元には赤い乳母車が置かれ、頭上では星や月のベビーモビールが揺れている。かわいらしいはずのモチーフをひとつずつ不吉なものへと反転させるデザインは、そのまま本編の不穏な世界観を予告しているかのようだ。
『ナイトボーン -夜哭-』は、8月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開される。配給はNOROSHI、ギャガ。
















