テイラー・スウィフトが、英国内で学ぶある留学生が直面した経済的危機に救いの手を差し伸べた。テイラーに思わず行動を起こさせた、18歳女学生の“学びへの情熱”とは? (フロントロウ編集部)

テイラー・スウィフトが再び個人レベルの経済支援

 シンガーのテイラー・スウィフトは、以前から、健康に問題を抱えたり、生活に困窮しながらも、前向きに生きようとしているファンたちに個人的に寄付を行なうなどして経済的にサポートしてきたが、新型コロナウイルス禍では、これまで以上に輪をかけて、人々の救済に情熱を注いでいる。

画像: テイラー・スウィフトが再び個人レベルの経済支援

 3月以降、パンデミックの影響により職を失ってしまったファンに現金支給を行なったり、経営難に陥った、故郷・米テネシー州ナッシュビルの小さなレコード店の従業員たちの給料と保険料を肩代わりしたり、ロックダウンの影響で仕事が無くなり、アメリカから国外追放されてしまうかもしれないという危機に直面したファンを救ったりと、個人レベルでの経済支援行なってきたテイラー。

 そんな彼女が、またもや、イギリス国内で勉学に励むある留学生に多額の寄付を行なっていたことが分かった。


英語も話せなかった「留学生」の夢

 黒人の血を引くポルトガルからの移民であるヴィトーリア・マリオは、ロンドン在住の18歳。父を早くに亡くし、母子家庭に育った彼女は、より優れた教育を受けたいという志を持って、2016年、単身イギリスに移住。

 経済的な理由により、母と一緒にイギリスに渡ることは叶わず、当初、英語をほとんど話すことができなかったヴィトーリアだが、とにかく勉強が好きだという彼女は、留学生でありながら現地の学校でトップクラスの成績をキープ。

 GCDE(義務教育終了にあたって受ける全国統一試験)でも最高ランクのグレードを獲得し、名門ウォーリック大学で数学を専攻するチャンスを手にした。

画像: ※イメージ写真

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 しかし、ヴィトーリアは、自分では高額な学費を工面することができず、家族に頼ることもできない。学資ローンを組むことや奨学金に申し込もうと考えたが、イギリス国民ではないため、その資格が無いという。これまでに、合計で442の企業に支援をお願いするメールを出したが、すべて拒否されるか、スルーされてしまった。

 とにかく必死なヴィトーリアは、ロンドン市内で最も裕福な地域に足を運び、自分のストーリーについてまとめた手紙を各家の郵便受けに入れて回るという、地道な手段も試したが、誰も手を差し伸べてくれる人はいなかったという。

 そこで、最後の望みとして立ち上げたのが、クラウドファンディング・プラットフォーム「GoFundMe(ゴーファンドミー)」の寄付金募集ページ。

 「数学者になりたい」という夢を掲げ、自分が直面している困難について正直に綴り、必要な資金の内訳を記載したヴィトーリアは、まだまだ男性優位で、とくに黒人女性が過小評価されている数学の分野で成功を収め、自分と同じ様なバックグラウンドを持つ人々に勇気を与えたいと記し、目標金額を約550万円に設定した。


ある日突然、テイラーから多額の寄付が!

 この投稿が、数週間後、どういった経緯かテイラーの目に留まり、ヴィトーリアの募集ページには、ある日突然、「テイラー・スウィフトから約300万円の寄付がありました」というメッセージが出現した。

 ヴィトーリアのもとには、この時点で目標金額の2割ほどの寄付が集まっていたが、その残りを達成する額を寄付したテイラーは、ヴィトーリアに宛てて、こんなメッセージを添えていた。

「ヴィトーリア、ネット上であなたのストーリーを偶然目にしました。夢を実現させようと頑張るあなたの意欲や熱心さにとても感銘を受けた。目標金額に達成するために、残りの金額を寄付させて。あなたが行なうすべての事に関して幸運を祈ってる! 愛を込めて、テイラー」

 テイラーは、親元を離れた異国の地で逆境に立たされながらも、決して夢をあきらめないヴィトーリアの姿に強く胸を打たれたよう。さらに、「男性優位の分野で活躍したい」というヴィトーリアの決意も、近年、性差別の撤廃や女性の権利向上に力を入れているテイラーに響いたものと思われる。

 余談だが、テイラーは、ヴィトーリアへの経済支援のニュースが報じられたのと同日、コロナ不況にあえぐアメリカ各地の小規模レコード店の売り上げアップに貢献するため、新アルバム『フォークロア(Folklore)』に直筆サインを入れたものを無料で送付するというサプライズを行なったというニュースも伝えられた。

(フロントロウ編集部)

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