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『ヒンド・ラジャブの声』日本版予告、声を託されたのはガザへの抗議曲を出した音楽家

FRONTROW Editorial Dept.
BY FRONTROW Editorial Dept.
『ヒンド・ラジャブの声』日本版予告、声を託されたのはガザへの抗議曲を出した音楽家
画像提供:スターキャットアルバトロス・フィルム

第82回ヴェネチア国際映画祭で審査員グランプリを含む8冠を獲得し、第98回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『ヒンド・ラジャブの声』。9月4日の日本公開を前に完成した日本版予告編で、ナレーションを担当したのはミュージシャンの春ねむりだった。(フロントロウ編集部)

8分の距離にいた救急車

カウテール・ベン・ハニア監督が初来日し、新宿で先行上映会を行なったことは既にお伝えしたとおり。その作品の日本版予告編が、このたび完成した。

映画が描くのは、2024年1月29日に実際に起きた通報だ。人道支援組織・パレスチナ赤新月社のボランティアオペレーターが受けた1本の緊急通報。電話の向こうにいたのは、イスラエル軍による攻撃下のガザ地区にいる6歳の少女、ヒンド・ラジャブだった。「あたしをうってる」と助けを求める声の背後では、銃撃音まで聞き取れる。

スタッフたちはただちに救急隊の派遣を要請する。だがガザ地区では、安全なルートを確保しないかぎり救急車ですら攻撃の対象になる。最寄りの救急車はヒンドがいる場所からわずか8分の距離にいた。その8分が、どうしても縮まらない。本作は、この通話の記録そのものを軸に89分を組み立てている。

2023年12月に「watermelon」を出した人が、声を当てた

日本版予告編でナレーションを務めた春ねむりは、全楽曲の作詞・作曲・編曲を自ら手がけるミュージシャンだ。この人選は偶然ではない。春は2023年12月、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃などに抗議する意志を込めた「watermelon (demo)」を発表しており、以降も一貫して発信を続けてきた。

ミュージシャンの春ねむり
画像提供:スターキャットアルバトロス・フィルム

その春が、本作に寄せたコメントはこうだ。「その声は記録となり、何度でも甦る。しかしそのひとはもう戻らない。引き裂かれながら応答せよ。あなたがまだ生きているのなら」。観客に向けて呼びかける、強い言葉が選ばれている。

各界25名が寄せた「連帯」のコメント

配給元には、各界のオピニオン総勢25名から連帯の応援コメントも到着している。名前をあげると、作家のいとうせいこう、キャスターの小川彩佳、タレントの松尾貴史、俳優の古舘寛治、フォトジャーナリストの安田菜津紀、ゲームクリエイターの小島秀夫、俳優のサヘル・ローズ、音楽家の折坂悠太、ラッパー/ラジオパーソナリティの宇多丸ら。表現や報道、ゲーム、音楽と、活動する領域はまるで異なる。

それだけの広がりを持つ顔ぶれが、それぞれの言葉で映画とヒンド・ラジャブについて書いている点に、この作品の受け止められ方が表れている。ヴェネチアでの8冠もアカデミー賞のノミネートも、映画としての完成度への評価であると同時に、記録された声そのものが持つ力への反応だった。

配給元によると、『ヒンド・ラジャブの声』は9月4日より全国順次公開される。

『ヒンド・ラジャブの声』ティザービジュアル
画像提供:スターキャットアルバトロス・フィルム

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