ビリー・アイリッシュの魅力は、音楽やパフォーマンス、ファッションだけでなく、どんな問題に対しても、自分の意見をハッキリと口にできるところにもある。今回は、待望の新曲「Therefore I Am」がリリースされたことを記念して、ビリーがこれまでに発してきた格言を総特集。(フロントロウ編集部)

新世代の「オピニオンリーダー」ビリー・アイリッシュ

 2020年に行なわれた第62回グラミー賞授賞式において、女性として初めて、最優秀レコード賞、最優秀アルバム賞、最優秀楽曲賞、最優秀新人賞の主要4部門を制覇したビリー・アイリッシュ

画像: 新世代の「オピニオンリーダー」ビリー・アイリッシュ

 今年のグラミー賞の主役になって以降、日本時間2020年11月13日にリリースされた最新シングル「Therefore I Am」を含め、2020年に入ってからは楽曲こそ3曲しかリリースしていないものの、弱冠18歳ながら、もはや「グラミー賞を席巻した」という説明が不要になるまでに、ビリーはすっかり次世代のリーダーとしての地位を確立している。

 そのユニークながらも耳から離れない音楽や、先日、最先端の技術を駆使して行なわれたオンラインライブでも観られたような圧倒的なパフォーマーとしての実力も去ることながら、ビリーを次世代のリーダーたらしめているのは、ボディシェイミング(体型批判)から人種差別、アメリカ大統領選まで、様々なトピックについて物怖じすることなく意見を言えてしまうところにある。

 今回は、新曲「Therefore I Am」がリリースされたことを記念して、ビリーがこれまでに発してきた格言をご紹介。

ビリー・アイリッシュの格言集

ボディ・シェイミングについて

 ビリーといえば、そのダボっとしたシルエットのファッションで知られているけれど、その背景には、「みんなに自分のすべてを知られたくないから」という切なる思いが込められている。新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックのために延期となった、デビューアルバム『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』を引っ下げたツアーの冒頭では、「NOT MY RESPONSIBILITY (私の責任ではない)」と名づけられた動画が放映されていたのだけれど、ビリーはその中で、代名詞ともいえるダボダボの服を1枚ずつ脱ぎ、最終的には下着姿になる。

 現在ではオンラインにアップされて、すべての人が観ることができるこの動画で、ビリーはボディ・シェイミング(体形批判)に異議を唱えている。

「私のこと知っている?ほんとに?あなたには意見がある。私の考え、私の音楽、私の服、私の身体に対して。私の着ている服を嫌いな人がいる。褒める人もいる。それを他人を傷つけるために使う人もいるし、私を傷つけるために使う人もいる。でも、私は見られている。いつも。人の目にさらされないものは何もない。だから私はあなたの視線、あなたの不安、あなたの安堵のため息、それを気にしながら生きていくことになれば、もう動くことができなくなる。私に小さくなってほしい?それとも弱くなってほしい? 柔らかく? 背が高く? 私に黙ってほしい? 私、肩で挑発している? それとも胸で? あとお腹? お尻? 私が生まれてきた身体はあなたが望むものではなの? もし私が着心地いい服を着ていたら私は女ではなの? 露出したら尻軽なの? あなたは私の身体を見たことがないのにいまだに批判する。そして決めつける。どうして?私たちは人のことをあれこれ推測する。ボディサイズで勝手に決めつける。どんな価値がある人かを決めつける。私がたくさん着たら、私が露出したら 、誰が私のことを決めるの? それってどういうこと? 私の価値はあなたがどう思うかで決まるの?それとも、私に対するあなたの意見なんて私の責任ではない?」

 また、2019年には、あくまで自分は好きでダボっとした服を着ているのであって、周囲の人たちがそれを真似する必要はなく、好きな服を着るべきだと語っている。

「私は、自分の服や体や肌や考えに自信をもっている女の子を見て『気持ち悪い。彼女ったら、露出しすぎ』とか、『みんなあんな格好をしなきゃいいのに』って思ったことなんかたったの1度もない。女性、男性、誰にしたって、自分の着たい服を着て、自分の肌や自分の身体に自信を持っているような人はつねに応援しているし、大好きだよ。私みたいな服を着ない人を批判することで私をサポートするような、そんな変な風潮は好きになれない」

「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」/人種差別について

 ビリーが、見た目で判断することに異議を唱えたのは、ファッションに関してだけではない。ビリーは人種差別に反対するメッセージをたびたび発信してきており、米現地時間の2020年5月25日にアメリカのミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドが警察によって殺害される事件が発生して、“黒人の命にも価値がある”を意味する、人種差別に抗議する「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」運動が活発になった時にも、抗議するメッセージを発信。

画像: 「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」/人種差別について

 当時、並行して白人たちの投稿を中心に「All Lives Matter(すべての命に価値がある)」というハッシュタグが頻繁に見かけられるようになった時には、力強い言葉で次のように非難した。

「『All Lives Matter(すべての命に価値がある)』であるなら、なぜただ“黒人”というだけで、黒人の人たちが殺されるの? なぜ移民の人たちが迫害されるの? なぜ白人以外の人種の人たちにはない機会を白人ばかりが得ることができるの?なぜステイホーム期間中に抗議活動を参加した人たちのなかで、白人だけがおとがめなしなの?それも武器のようなものまで持ち歩いているのに。なぜ無実の人が殺害された事件の抗議活動に参加した黒人だけが不良呼ばわりされるの? なぜか知ってる???

 それが白人のクソ特権だから。

 白人の特権はヒスパニック系の人たちに影響を与えている? ネイティブアメリカンは? アジア系の人たちは? 答えは言うまでもないけど、イエス。1000000000000000%、影響ある。

 でも今、この瞬間にみんなで話し合うべきことは、何百年と続く黒人の人たちへの制圧について。『Black Live Matter(黒人の命にも価値がる)』というスローガンは、“黒人以外の命に価値がない”と言っているわけじゃない。このスローガンは、今の社会が黒人の命をまるで価値のないもののように扱っているという、まぎれもない事実を訴えているだけ!!!!」

 ビリーは人種によって音楽がジャンル分けされる風潮にも異議を唱えており、今年6月に英GQに掲載されたインタビューの中で、自身が「ポップ」とされているのは白人女性だからだと語っている。

「もし私が白人じゃなければ、きっと『ラップ』にくくられていたと思う。なぜかって? 人々は見た目と、自分が知っていることから判断するから。おかしなことだと思うけどね」

恋愛/交際について

 ビリーは自身の恋愛や、交際相手について一切明かしていないことで知られており、自身の恋愛関係を秘密にしている理由について、英ラジオ番組『Capital Breakfast』に出演した際に次のように明かしている。

「みんな、他人の恋愛について、まったく知りもしないのにあれこれ意見したがりすぎ。そんなの、私はマジで興味ない」

画像: 恋愛/交際について

 そして、そんなビリーは、自分自身を愛することの大切さをサラッと語っている。2019年に蘭3Voor12のインタビューで「今、恋愛しているんでしょ?」と訊かれた際には、次のように答えた。

「今は、“彼女”と恋に落ちてるよ。私自身とね」

名声/アイコンともてはやされることについて

 とはいえ、ビリーがたとえ自分自身を心から愛していようとも、そのことで彼女が天狗になってしまうことはない。これほどの名声を得てもなお、地に足をつけ続けているのが彼女の魅力の一つで、昨年、米Entertainment Tonightのインタビューに応じた際には、シンガーのカミラ・カベロの妹と対面したときのユニークなエピソードを披露した。

「そのときカミラは妹と一緒にいて、カミラの妹は私のことを見るなり、泣き始めたの。これっておかしいよ。『あんたのお姉ちゃんはカミラ・カベロじゃん。なんで私なんかのために泣くの?どういうこと?』って思った」

 自分は決して世間の“アイコン”などではなく、自分は自分。ビリーは昨年、豪Vogueとのインタビューで、世間からレッテルを貼られることについて次のように語っている。

画像: 名声/アイコンともてはやされることについて

「これってうっとうしい。世間からの評価とか愛にはもちろん感謝してるけど、正直呆然としちゃう。(ブレイクしてから)最初の数ヶ月間、人々が私のことを『ポップアイコン』だとか、『ポップ界の新しい“イットガール”』とか呼んできたのを思い出すけど、それってなんかムカつくんだよね。人間の変なところって、みんな物事を型にはめて、ジャンル分けしなきゃって思うところ。そんなことする必要なんかないのに」

アメリカ大統領選/政治について

 自分は決して「アイコン」ではないと語る一方で、ビリーは自分が持っているファンベースの大きさを十分に理解してもいる。2020年のアメリカ大統領選では、民主党候補であるジョー・バイデン次期大統領への支持を表明して、民主党の全国大会で国民に投票を呼びかけた

「沈黙など選択肢にはなく、傍観している余裕などありません。私たちの人生や世界がこの選挙にかかっているという気持ちで投票する必要があるのです。実際、そうなのですから。将来をハッキリさせるための唯一の方法は、それを自分事にすることです」

メンタルヘルスについて

 過去に自己嫌悪に陥っていた時期があることを公にしているビリーは、メンタルヘルスの問題に悩む人たちに心強いメッセージを送っている。2019年に「シーズ・ジ・オークワード(Seize The Awkward)」という自殺防止団体のキャンペーンに参加した際、ビリーは次のようにメッセージを寄せた。

画像: メンタルヘルスについて

「助けを求めることで人は弱くならない。友達に話すことや、セラピスに会いに行くことであなたが弱い者になるわけじゃない。人に助けを求めて弱い者扱いされると考えるべきではないし、誰かに助けを求められるようにならなきゃいけない。

 助けを必要としている人が回りにいるなら、みんなが手を差し伸べなきゃいけない。こういう会話って、はじめから超シリアスにならなくていいと思う。『気分はどう?』とか『大丈夫?』とか、それだけ聞けばいい。『大丈夫』って返されても、『本当に? 本当に大丈夫?』って質問して。時には何も言わなくてもいいかもしれない。理解してもらえるように、向こうから話しかけられないかもしれないけど、ハグのひとつや手を取り合うことで救われる人がいると思う。

 私が言いたいのは、耳を傾けるべきだということ。話を聞くこと。私は私のやり方で頑張っているし、プロでもなんでもないから自分でも何をしているのかわかんないけど…。私は(辛い状況を)見てきたし、経験してきたからこそ、少しの心の拠り所が大きな意味を持つと思っている。だってあなたはその人に何が起きているのかわからないし、一緒にいる時でもその人の心に何かが起きているのかもしれない。私がそうだった。でも、(声をかけてくれる)特定の人がいて、一番必要な時に、愛してるって、あなたのこと考えてるってメッセージを送ってくれた。そういう言葉って、当事者にとって本当に意味がある」

(フロントロウ編集部)

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