2020年7月 ジョニーVS Sunの裁判開始、薬物使用や不倫疑惑などが語られる
英The Sunがジョニーを「Wife Beater(妻を虐待する者)」と呼んだことをめぐる名誉毀損の裁判に進展が。英現地時間7月7日よりイギリスの高等法院で審理が始まり、ジョニーとアンバーが出席した。
7月7日 裁判の冒頭で、ジョニーの弁護団はThe Sunからの損害賠償ではなく、「名誉回復」を求めているとコメント。The Sunがジョニーのことを「Wife Beater(妻を虐待する者)」と呼んだことによって、世間の人たちから誤った理由で非難されているとして、DV加害者のレッテルを貼られたジョニーに果たして本当にそう呼ばれるだけの非があるのかどうかを今回の裁判ではっきりとさせたいとした。
アンバー側はジョニーの薬物乱用による暴力を主張していることから、今回の審理では、ジョニーの過去の薬物使用についての議論が行なわれることに。ジョニーは11歳の頃から薬物を使用していたことを認めた。
7月8日 証言台に立ったジョニーは、俳優のウィノナ・ライダーと交際していた時に入れた「Winona Forever」というタトゥーを“お直し”した「Wino Forever」というタトゥーをアンバーに笑われたことに激怒し、彼女のことを殴ったというアンバー側の主張に対し、「ハードさんを殴ったりしていません」と否定。
7月9日 裁判所では、アンバーがジョニーに宛てて書いた未送信のメールに書かれていた、ジョニーの「ジキル博士とハイド氏」のような人格について詳しく追及。その後、このメールは7月27日に行われた最終弁論で全文が読み上げられ、「あなたは私の事を何度も叩いた。それは、絶対にするべきではないことだった。なんて人なの?お酒やドラッグをやらなければ、絶対にそんなことするはずなかったのに」などと書かれていたことが公にされた。
7月10日 過去の裁判でも大きな話題になったが、ジョニーは今回の裁判で改めて自身のベッドに「排泄物」が残されていたことが引き金となり、アンバーとの離婚を決意したことを告白。この排泄物事件にアンバー本人、もしくは彼女の友人が関与していることを「確信している」と述べた。
7月13日 アンバーは2015年12月15日にロサンゼルスにある自宅で口論の末に、ジョニーから頭突きなどの暴行を加えられたと主張しているが、ジョニーは意図的にやったことではないとしてそれを否定。また、当時アンバーと一緒に仕事をしていたスタイリストによって、アンバーがジョニーから暴力を受けたとされる日の翌日にトーク番組に出演したことや、その際、顔や体に傷やアザ等は見受けられなかったことなどが語られた。
7月14日 2015年に新婚旅行で東南アジアを訪れた際に書かれたとされるアンバーの日記が証拠として提示された。そこには、電車の車内でジョニーと“ひどい喧嘩”をしたことや、ジョニーが自分のシャツを使ってアンバーの首を締めようとしたことなどが記されていた。
7月15日 ジョニーの元不動産マネージャーのベン・キングが、2015年にオーストラリアでジョニーとアンバーが激しい口論をした後の部屋の状況や、欠損したジョニーの中指を発見した時のことを述懐。ちなみに、アンバーはジョニーがボトルや窓などを割るなどして暴れ、その破片で右手の中指を損傷したと証言しているが、ジョニーはアンバーが投げたウォッカなどのボトルによって負傷したと主張している。
7月16日 裁判で証言する予定がキャンセルになったジョニーの元パートナーのヴァネッサ・パラディと元恋人のウィノナ・ライダーが、代わりに裁判所に声明文を提出。ウィノナはその声明文のなかで、「彼が信じられないほど暴力的な人物であるという考えは、私が知っている、私が愛したジョニーから最も遠いものです。彼が非難を浴びている理由が私には理解できません。彼が私に対して暴力を振るったことはただの一度もありませんでした。同様に彼が私を虐待したことはただの一度もありませんでした。私の知るかぎり、彼は誰に対しても暴力的でも虐待的でもありませんでした」と証言した。
7月17日 ジョニーとの婚姻中に、アンバーがジョニーとは別の複数の男性と関係を持っていたという疑惑についての議論が行われ、元夫妻の自宅マンションのコンシェルジュを務めていたアレハンドロ・ロメロによって、当時、アンバーがテスラ社などのCEOとして知られるイーロン・マスクをジョニーと暮らす自宅に連れ込んでいたというエピソードが明かされた。
7月20日 証言台に立ったアンバーが、ジョニーとの婚姻中に何度も命の危険を感じたと告白。「いくつかの出来事は非常に深刻で、故意の時もあれば、コントロールを失って行き過ぎた行為に走ることもあり、いつか彼に殺されるのではないかと不安でしかたがありませんでした。とくに私たちの関係が終わりを迎える頃には、彼は私に対して明確な殺意を見せていました」と、当時を振り返って語った。
アンバーは、ジョニーとの婚姻中に合計14回にわたり、身体的、精神的暴力を受けたと改めて主張。アンバーはジョニーについて嫉妬深い人間だったとして、ジョニーが、アンバーが映画で共演した俳優たちの多くと浮気をしたのではないかと毎度のように疑っていたことを持ち出し、「彼はすべての男性の役者たちが私と寝たがっている、もしくは、私が彼らと不倫したと決めつけ、人々から浮気についての話を聞いた、自分は何でも知っていると主張しました」と、ジョニーが彼女の携帯電話を取り上げたり、誰かから浮気していると聞いたと語ることで自分にボロを出させようとしたなどとコメント。その上で、ジョニーは「酒に酔ったりハイになったりした時はとくに自分を愚弄してきた」として、ジョニーが自分にとって性的な脅威を感じるアンバーの男性共演者にそれぞれ侮辱的なニックネームをつけていたとも主張した。
7月21日 これまでジョニーに対する暴力行為があったことを一貫して否定してきたアンバーが、2015年の3月、ジョニーの暴力から身を守るために彼を拳で叩いたと認めた。この時、初めてジョニーに手を出したと告白したアンバーは、その理由について、ジョニーが自身の妹のホイットニー・ヘンリケス(旧姓ホイットニー・ハード)を階段から突き落とそうとしたからだと説明している。
法廷では、アンバーいわく、ジョニーが「野球のピッチャーのように振りかぶって投げた」というスマホがぶつかってできたとされる、アンバーの顔のアザを写した新たな写真も公開。アンバーは過去の裁判でもジョニーにやられたとされる顔のアザの写真を公開してきたが、これらの写真に写る負傷の痕跡は、彼女が友人の協力を得て捏造したものなのではないかという疑惑があることに対し、「これは私の身に起こったことです。私は覚えています」とキッパリと答えた。
7月22日 ジョニーが中指を負傷した2015年のオーストラリアでの大げんかを振り返って、アンバーが「(ジョニーが)30本以上のボトルを、まるで手榴弾や爆弾を投げるかのように、勢いよく私に向かって投げつけてきました」と証言。ボトルを投げて暴れたのは自分ではなく、ジョニーであると強調した。
7月23日 アンバーが2020年に他界した母に「お母さん、彼は狂ってる。暴力的でクレイジー。自分がこんな人を愛してしまったことに傷ついてる」などと、DVについて相談したメールの内容が読み上げられた。
さらに、この日はアンバーの妹ホイットニーが証言台へ。ジョニーに階段から突き落とされそうになった出来事の背景について、隣室で寝ていたところ、ジョニーとアンバーが争う声で目を覚まし、2人の元に様子を見に行ったと説明。ジョニーが階上に逃げたアンバーを追いかけて危害を加えようとしており、彼女はそれを止めようと2人の間に入ったところ、ジョニーから引っ張られて階段から落ちそうになったとホイットニーは説明した。
7月24日 ジョニーの弁護士が、アンバーが妹のホイットニーに暴力を振るった証拠として、匿名の情報提供者から入手したという動画を公開。その動画には、リアリティ番組の収録中に、ある出演者がホイットニーに向かって「ケンカしたって本当?」「アンバーに負けたなんてびっくり」と語りかける声が入っていた。
7月27日 News Group News社の弁護士による最終弁論で、2013年にアンバーがジョニーに宛てて書いたものの、送信はせずに保存しておいたといわれるメールの全文が読み上げられた。アルコールや薬物の乱用により、手がつけられない状態となることもあったというジョニーとの別れを決意して書いたようにも受け取れるメールで、アンバーはジョニーの二面性や荒れた生活ぶりに言及し、周囲のスタッフに失態の尻拭いをさせている彼を「Man-child(幼稚な大人)」と形容していた。
また、弁護人はジョニーがアンバーに対する暴力行為を否定していることに対し、“あまりにも酒やドラッグに溺れていたために、アンバーに暴力を振るったことを覚えていないのではないか”と指摘した。
7月28日 ジョニーはアルコールや薬物の使用は認めているものの、アンバーへのDVに関しては強く否定しており、アンバーがDV被害の証拠として提出したアザなどの写真は、彼女が捏造した疑いがあると主張。その姿勢は最後まで変わらず、裁判最終日のジョニー側の弁護士による最終弁論でも、アンバーが嘘をついているという点が強調された。ジョニーの弁護士は、DVを受けたのは、ジョニーのほうであるという主張を最後まで貫き、「彼女(アンバー)こそが虐待する者であり、デップ氏ではありません。彼は妻を虐待する者ではありません」と高らかに論じた。
ちなみに、最終日に高等法院から出てきたアンバーは、階段の上に立ち集まった群衆に向けてスピーチを行ない、「2016年にジョニーに対する接近禁止令が出され、離婚が成立したあと、私はもうその先の人生へと進みたいと思っていました。今回の裁判を起こしたのは私ではありません。この件はとても重大な問題ですが、私は法廷に立つことは望んでいませんでした。ジョニーとの破局を振り返り、自分の動機や真実を疑われ、ジョニーとの生活で経験した最もトラウマ的で個人的な出来事の数々が法廷やメディアの放送によって世界中に知られることは、信じられないくらい辛いものでした。私は自分の法廷での証言を固持するとともに、イギリスの司法を信じます」などと語った。
一方のジョニーは、アンバーのようにスピーチは行なわなかったが、「Justice for Johnny!(ジョニーに正義を!)」と合唱するファンたちの声援に笑顔で応え、差し出された花束やテディベアを受け取り、手を振ったり拳を突き上げたりしながら、高等法院を後にした。