2009年
カニエ・ウェストの妨害事件
MTVビデオ・ミュージック・アワードにて、スクーター・ブラウンの現在のクライアントであるカニエ・ウェストが、最優秀女性ビデオ賞を受賞したテイラー・スウィフトからマイクを奪い、スピーチを妨害。「ヨー、テイラー。君の受賞をとても嬉しく思ってるよ。君には喋らせてあげるけど、ただ…、ビヨンセのビデオは歴史上で最も素晴らしいビデオのひとつだった!」と観客席に向かってシャウトした。
元々仲が良かったジャスティン・ビーバーとテイラー・スウィフト
スクーターが発掘したことで知られるジャスティン・ビーバーとは元々仲が良く、ジャスティンはテイラーの『フィアレス』ツアーにサポートアクトとして帯同。ジャスティンは、ウェンブリー・アリーナで行なわれたステージで足を骨折するというアクシデントに見舞われながらも、続くマンチェスター・アリーナでの公演では足にギプスをつけてパフォーマンスを行なった。
2011年
ジャスティン&セレーナのカップルとの3ショット
ビルボード・ミュージック・アワードの授賞式では、ジャスティンと、彼と当時交際していたセレーナ・ゴメスとの3ショットが収められている。
また、ティーン・チョイス・アワードには、ジャスティンと並んで出席。
アメリカン・ミュージック・アワードでも、ジャスティン&セレーナのカップルと仲睦まじく話している様子が収められた。
2013年
ジャスティンとテイラーの不仲説が流れ始める
スクーターがマネージャーを務めるジャスティンと、今でもテイラーの大親友であるセレーナがくっついたり別れたりを繰り返していた頃、ビルボード・ミュージック・アワードのバックステージで、テイラーがジャスティンとセレーナに不快げな目を向けていたところが目撃される。
その後、ジャスティンが同アワードでマイルストーン賞を受賞したことについて直撃されたテイラーは、「次の質問は?」とこの質問を流し、回答を拒否した。
2016年
カニエ・ウェストの「フェイマス」問題
スクーターのクライアントであるカニエが、シングル「フェイマス」で「俺とテイラーはセックスするかもしれない/なぜって?俺があのビッチをフェイマス(有名)にしてやったからさ」とラップして大問題に。ミュージックビデオでは、テイラーそっくりの裸姿のろう人形を使い、バッシングを受けることに。
「フェイマス」をめぐって騒動になっていたなか、ジャスティンが、カニエやスクーターとフェイスタイムする写真に「テイラー・スウィフト調子どう?」というコメントを添えてSNSに投稿 。カニエを支持したのではないかと噂されることとなった。
2019年6月30日
スクーター・ブラウンがビッグマシン・レコードを買収
ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデを顧客に持つ敏腕マネージャーのスクーター・ブラウンの会社イサカ・ホールディングスLLC.が、約325億円(300万ドル)でビッグマシン・レコードを買収。ビッグマシン・レコードは、テイラー・スウィフトが15歳の時に契約したレコード会社で、2018年11月にリパブリック・レコーズに移籍するまで13年間にわたって所属していたレーベル。テイラーは2006年のデビューアルバム『テイラー・スウィフト』から2017年の『レピュテーション』まで、6枚のスタジオアルバムをこのレーベルからリリースした。
テイラー・スウィフトが反論
しかしながら、テイラーはこの買収計画を事前に知らされていなかったとして、怒りをあらわにした長文の声明を自身のTumblrに投稿。そのなかで、スクーターから長年にわたって嫌がらせを受けてきたことも告発した。
以下、テイラーの声明の一部を抜粋。
「何年もの間、私は、自分の作品の権利を持てないかと頼み、嘆願してきました。しかし、私が代わりに得たのは、新作を出すごとに1つのアルバムを取り返せるよう、ビッグマシン・レコードと再契約し直す機会でした。この契約にサインすれば、(ビッグマシン・レコードのCEOの)スコット・ボーチェッタがレーベルを売却し、私と私の未来を売るとわかっていたから、私はレーベルから立ち去りました。そのために私は、過去を捨てるという耐え難い選択をしなければなりませんでした。ベッドルームの床で書いた音楽や、私が考え、バーで歌い、クラブで演奏し、アリーナで披露し、スタジアムでパフォーマンスして稼いだお金で作ったミュージックビデオのことです。
今日のニュースで皮肉にもスクーター・ブラウンが私の作品を買収したことを知りました。これを聞いて思い出したのは、彼が何年もの間、人を操って私にしてきたいじめです。
例えば、キム・カーダシアンが違法に収録した通話音声の一部がリーク(※1)したときに、スクーターのクライアント2人が揃ってネット上で私を誹謗中傷した(※2)こととか。(写真参照)。彼の顧客であるカニエ・ウェストが、私の全裸が映るリベンジ・ポルノなMV(※3)を制作したこととか。そして今、スクーターは、私には買う権利を与えられなかった私の人生をかけた作品をはぎ取りました。事実上、私が作った音楽のレガシーは、それを壊そうとした人物の手に渡ろうとしています。
※1:カニエ・ウェストの楽曲「フェイマス」の歌詞でカニエがテイラーを「ビッチ」と呼ぶことをテイラーが許可したかどうかでカニエとテイラーが2016年にバトルになったときに、カニエの妻キム・カーダシアンが テイガーが使用許可を出す瞬間とする通話動画を公開。カリフォルニア州では相手の許可なく通話を録音することは違法。
※2:テイラーとカニエが前述 の「フェイマス」の件でバトルを繰り広げているなか、ジャスティンが、カニエやスクーターとフェイスタイムする写真に「テイラー・スウィフト調子どう?」というコメントを添えてSNSに投稿したこと 。
※3:「フェイマス」を巡ってバトルが繰り広げられたなか、カニエが同曲のMVにテイラーそっくりのろう人形を全裸で登場させたこと。テイラーはこの行為が、相手の意思に反して仕返しするために裸の写真や動画などを公開するリベンジ・ポルノであると主張している。これは私にとって最悪の事態です。15歳という若さで、“忠実”という言葉が契約上の概念でしかない人を相手と契約するとこうなるのです。そしてその男性は『音楽には価値がある』と言いましたが、その価値の恩恵を受けるのは制作に一切関わっていない男性たちでした。
スコットに作品を残した時、彼が結果的に私の作品を売ることになるという事実を前向きに受け入れていました。でも私は、買い取る相手がスクーターになるなんて、そんな最悪な悪夢を想像していなかった。スコット・ボーチェッタは、私の口から“スクーター・ブラウン”という名前が出た時は、私は必ず泣いていたか、泣くのをこらえていたことを知っています。彼は自分が何をしているのかをはっきり分かっているはずです。彼ら2人とも分かっているはず。関わりたくないと思っている女性を支配しようとしていることを。しかも永久に」
ジャスティン・ビーバーがテイラーに謝罪
スクーターのクライアントで、テイラーから暗に批判されたジャスティン・ビーバーは、テイラーの声明を受けて彼女との過去の写真をインスタグラムに投稿。その中で、「スクーターとカニエとテレビ電話した時の写真に『一体どうしたんだい、テイラー』というキャプションを書いた」ことを謝罪しながらも、恩師であるスクーターの肩を持ち、「話し合い」の場を持ちたいと呼びかけた。
ビッグ・マシン・レコーズは反論
一方で、スクーターへの売却計画を事前に知らされていなかったと告発したテイラーに対し、スコット・ボーチェッタCEOがこれに反論。ボーチェッタCEOは、ビッグマシン・レコードがテイラーにとどまってほしいと再交渉した際の契約内容が書かれているとされる書類を公開し、「この契約を結べば、テイラー・スウィフトの作品すべてが100%すぐさま彼女に移るはずでした」と述べ、そのうえでテイラーが別のレコード会社との契約を求めたと続け、「テイラーには自分の音源だけでなく、すべてのビデオ、写真といった、自分のキャリアにかかわるすべてのものを所有するチャンスがありました。しかし彼女は(自分のレーベルを)去るという選択をしたのです」と主張した。
2019年7月
弁護士がボーチェッタCEOに反論
テイラーの弁護士ドナルド・パスマンが米Peopleに対し、ボーチェッタCEOの主張に反論する声明を発表。
「スコット・ボーチェッタがテイラー・スウィフトに彼女の音楽の原盤や商標を無条件で購入する機会を与えたことは一度もありません。今回ほかの人(※スクーターという意味)にはその機会を与えたようですが」
セレブはテイラーとスクーターのどちらを支持?
テイラーとスクーターの騒動を受け、様々なセレブたちがそれぞれへのサポートを表明。当時の時点で、ホールジーやイギー・アゼリア、マーサ・ハント、カーラ・デルヴィーニュ、トドリック・ホール、アレッシア・カーラ、サラ・サンパイオ、パニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリー、シェールらがテイラーを擁護し、反対に、共にスクーターのクライアントであるジャスティン・ビーバーやデミ・ロヴァート、ジャスティンの妻であるヘイリー・ビーバー、シーアらがスクーターへのサポートを表明した。
テイラーがコンサートのステージでスクーターに痛烈なディス
日本時間2019年7月11日に開催されたAmazonプライムデーコンサートにテイラーが出演し、スクーターとの騒動以来、初めて公の場に。スクーターの名前こそ出さなかったものの、2014年の大ヒット曲「シェイク・イット・オフ」の歌詞に登場する「ウソつき」、「汚い人間」という部分を露骨に強調してパフォーマンスし、暗にスクーターを批判した。
THE SHADE OMFG I FELT THAT #PrimeDay #PrimeDayConcert pic.twitter.com/mdbINhFbU2
— mich (@folkloreslaps) July 11, 2019
「テイラーは優しかった」とスクーター
スクーターとボーチェッタCEOが、「テイラーからの告発や、そこから派生した騒動については何も話さない」という条件の下で、米Billboard誌の表紙にそろって登場。その中で、スクーターが初めてテイラーと出会ったときの印象について、「テイラーのツアーに参加していたとき、ビッグマシンの人たちはみんな僕とジャスティンに親切にしてくれた。テイラーは優しかったし、ボーチェッタCEOも優しかった」と振り返ったほか、ボーチェッタCEOは、ビッグマシン・レコーズの社員も所属アーティストもスクーターによる買収を喜んでいると語った。
2019年8月
過去のアルバム6作を再レコーディングすることを明言
テイラーは米現地時間8月22日朝に出演した『グッドモーニング・アメリカ』での生インタビューで、前レーベルとの契約では、2020年の11月から過去のアルバムを再レコーディングしても良いことになっていると明かし、「私はアーティストが自分で作った楽曲の権利を持つべきだと思ってる。だからすごく楽しみ」、「来年は忙しくなりそう」と過去曲を再録することを明言した。
スクーターとボーチェッタCEOがテイラーの『ラヴァー』を称賛
テイラーが8月23日に、新たな所属先であるリパブリック・レコーズから通算7作目となるアルバム『ラヴァー』をリリース。
スクーターとボーチェッタCEOもこのアルバムに賛辞を寄せ、スクーターは、「どんなことを言われようとも、(才能を)信じていなければ大きな賭けをしたりしない。おめでとう、テイラー・スウィフト。『ラヴァー』は素晴らしいアルバムだ。サポートするほうが健全な選択だったね」とテイラーを称賛。
Regardless of what has been said the truth is you don’t make big bets unless you are a believer and always have been. Brilliant album with #Lover. Congrats @taylorswift13. Supporting was always the healthier option � #brilliantalbum #brilliantcampaign congrats
— Scooter Braun (@scooterbraun) August 23, 2019
さらに、ボーチェッタCEOは、『ラヴァー』のデラックス・エディションの特典に含まれるテイラーの日記の中から、14歳の頃のテイラーが同社とアーティスト契約を結ぶことになった日のことを綴ったページの写真をインスタグラムに投稿し、「私も今でもまだあの頃と同じ気持ちだよ。素晴らしいアルバムのリリースおめでとう」と祝福のメッセージを送った。
2019年9月
買収したことに「悪意はない」とスクーター
米ポットキャスト『ワイド・オープン』に出演したスクーターが、テイラーとの買収騒動を巡るバトルについて、「僕が悪意に基づいて何かをするということは絶対にない。何事にも公正に取り組みたいと思っている。いつも正しいことをしようと心がけているよ」とコメント。
買収騒動が勃発して以来、テイラーのファンや彼女の肩を持つ人々から批判が殺到したことについて、「誰かから攻撃されるのはツラいよ。しかも、それが真実に基づいていないことならなおさらね」と語った上で、「でも、相手にとっては何らかの真実に基づいているのかもしれない。たとえ、その人がすべての情報を知らないとしてもね」と、テイラーの名前は口にしなかったものの、彼女の立場にも理解を示しつつ、テイラーは何かを誤解しており、買収にまつわる全ての情報を知らされていないようだとした。
2019年11月
テイラーがスクーターを告発した理由について改めて明かす
テイラーはスクーターを告発したことの背景に込めた思いについて、アーティストよりもストリーミング・サービスやレーベル、そして企業側の利益が優先されるという現状に立ち向かうべく、自身には声を挙げる力と責任があると、英Music Weekのインタビューで語った。
「そういうことについて大きな声をあげられるのはアーティスト界で私くらいしかいないでしょう。5、6、7作目のアルバムを出した者しか発言できない、だって、新人アーティストやプロデューサーやソングライターは、仕事を必要としているから。自分たちのレーベルやストリーミング・サービスに対して、いつだって親しみやすく、好かれやすく、そして応対できるようにしておかなければならない。だから、『ちょっと、今の音楽を作っているのはプロデューサーとかソングライターとかアーティストですよ』って声を挙げられるかは、この業界にそれなりに長くいるアーティストたちにかかっている」
過去曲のパフォーマンスが許されていないとテイラーが告発
テイラーは米現地時間11月24日に開催されるアメリカン・ミュージック・アワードの授賞式で、「アーティスト・オブ・ザ・ディケイド(過去10年で最も輝かしい功績を残したアーティスト)」と呼ばれる特別賞を受賞することとなり、それに合わせて、過去のヒット曲のメドレーを計画していたものの、スクーターとスコットから原盤権に関する契約を盾に、それを阻止されたことを告白。
さらに、のちにネットフリックスで2020年1月に公開されたドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』に関しても、旧楽曲やパフォーマンス映像の使用が許可されなかったことや、過去作の使用を許可する交換条件として、テイラーが今後予定している過去の楽曲の再レコーディングを中止し、今後一切、この話題に言及しないことを要求されたことも明かした。
“過去曲が歌えない危機”にセレブ仲間がサポートの声
過去曲をパフォーマンスすることが許可されていないと告発したテイラーの危機に対し、長年の親友であるセレーナ・ゴメスらセレブたちが反応。セレーナは「彼女を取り巻く残念な状況に変化が訪れることを、心から望んでいる。自分の親友が(もちろんほかの友だちもだけど)、ことあるごとに足を引っ張られるのを見るのは、最悪な気持ち。でも、テイラーは戦うよ。彼女は絶対に戦うことをやめない。人は選択することで成長する。なかには、ずっと変わらない人もいるけどね。私はただ、彼らが心変わりすることを望んでる」とインスタグラムストーリーに長文のメッセージを投稿して、テイラーへの支持を表明。
また、ホールジーも「こんなのただの意地悪。彼らはテイラーを罰しようとしている。(中略)人々が彼女のために立ち上がることはないと見込み、世間は彼女がただ大袈裟に騒ぎ立てているだけと見なすだろうと高を括っている」と声を上げたほか、モデルのジジ・ハディッドは「スコット&スクーターへ。正しい対処の仕方は何か、もうわかってるでしょ。テイラーと彼女のファンたちには、音楽を称賛する権利がある!」と、スクーターとボーチェッタCEOを名指しで批判した。
過去曲のパフォーマンスに許可が下りる
その後、AMAを主催するディック・クラーク・プロダクションとビッグマシン・レコーズが、テイラーがAMAで過去の楽曲をパフォーマンスすることを正式に許可。2社の連名による米Varietyを通じた声明には、テイラーの名前は記述されていないものの、授賞式のステージでのアーティストたちのパフォーマンスの模様を、双方が合意した所定のプラットフォームにおいてストリーミング配信を行なっても良いという内容のライセンス契約を締結したとの報告が記載された。
さらに、声明には「レコーディングアーティストたちは、テレビ番組やその他のライブ配信メディアでのパフォーマンスに際して、レーベル側に許可を得る必要はない」、「レーベルの承認が必要となるのは、契約アーティストがその楽曲の聴覚的・視覚的レコーディングを行なう場合のみ。その判断は、それらの作品がどのように流通されるかによる」といった記載も含まれた。
テイラーのファンから殺害予告が届いているとスクーター
スクーターがインスタグラムを通じてテイラーに宛てた「公開レター」を投稿。「先週、君が(過去曲のパフォーマンスの可否に関する)声明を発表して以来、僕の家族に対して数えきれないほどの殺害予告が届いている」と告白し、「正直に言うと、僕がビッグマシーン・レコーズ社と提携したことに、君がそんなにも心を痛めていることを知ってショックだったし、落胆せずにはいられなかった」と心境を明かした上で、「前に進むためにも、解決策を見つけたい。君の都合に合うように、僕はいつでもスケジュールを空けるよ」と綴り、話し合いの場を設けてほしいと訴えた。
テイラーがアメリカン・ミュージック・アワードに出演
テイラーが米現地時間11月24日にAMAに出演。左腕には『Reputation』、前面には『Speak Now』『1989』『Red』、背中には『Fearless』、そして左腕にはセルフタイトルのデビューアルバム『Taylor Swift』という、自身がこれまでリリースしてきたアルバムのタイトルがプリントされた真っ白なシャツドレスを身にまとい、ステージに登場。
「もし私が男だったら、もっと楽に成功を手にできたかもしれない」と歌う、『ラヴァー』に収録の楽曲「The Man」からパフォーマンスをスタートさせたテイラーは、アルバム『Fearless』より「Love Story」、『Red』より「I Knew You Were Trouble」、『1989』より「Blank Space」と「Shake It Off」を披露した。
2019年12月
テイラーがビルボード・ウィメン・イン・ミュージックでパワフルなスピーチ
米Billboardが毎年恒例で主催している、その年最も音楽界に大きな功績を残した女性たちを称えるイベント、ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック(Billboard Women in Music)で、特別賞の「ウーマン・オブ・ザ・ディケイド」を受賞したテイラー。
2010年代に最も秀でた活躍を見せた女性アーティストに贈られる名誉ある同賞を受賞したテイラーは、授賞式で15分間におよぶロングスピーチを披露。そのなかで、スクーターによる買収騒動に言及して、「(買収は)私の承認も相談も同意もなしに行なわれました。スクーターは購入前、私や私のチームに対して相談の連絡などは一切してきませんでした」と改めて主張。
同アワードの会場には、“宿敵”であるスクーターを支持する人々もたくさん出席していることを認識したうえで、スクーターの人間性を擁護することで買収騒動の論点をすり替えようとする人々を「まるで有害な男性優位社会の定義のよう」と痛烈に批判した。
「私がアーティストたちや彼らが自分の音楽を所有する権利に関する重要な懸念を提起しているときに、『でも、彼はいつも親切にしてくれるよ』なんて言う人は、まったく分かっていません。もちろん、彼はあなたに親切にするでしょう。だって、この会場にいるということは、あなたは彼にとって有益な何かを持っているということですから」
2020年2月
「The Man」のミュージックビデオでスクーターとボーチェッタCEOをディス
テイラーが『ラヴァー』に収録の楽曲「The Man」のミュージックビデオを発表。 男性優位社会を痛烈にぶった切る隠れメッセージをこれでもかと詰め込んだミュージックビデオのなかで、ボーチェッタCEOやスクーターを暗に批判した。
ビデオに登場する、地下鉄車内の右側の壁に貼られたポスターに書かれた「BO$$SCOTCH(ボス・スコッチ)」の文字。これはボーチェッタCEOへのディスと見られ、「BO$$」と本来なら「SS」のところを「$」で代用。ボーチェッタCEOがお金に汚い性分であることを連想させるポスターの下には「Capitalize on the Feeling(人の感情を金儲けに使え)」という一文のほかに、そのすぐ横の壁にはマジックで書かれた「Greedy(強欲)」という落書きが確認できる。
ビデオのなかで、「13番通り駅(13th Street Station)」と名づけられた架空の駅に降り立つと、公共の場であるホームの壁に向かって立ち小便をする、ルール違反な行動がフィーチャーされたシーンが目に入る。壁には、スクーターをディスったと見られる「キックスクーター禁止」のサインが掲げられているほか、その周辺には、「Taylor Swift」、「Fearless」、「Speak Now」、「Red」、「1989」、「Reputation」という、原盤権がスクーターの手に渡ってしまった過去のアルバム6作のタイトルが落書きされている。
さらに、左側には、「Missing If Found Return to Taylor Swift(探しています:見つけた方はテイラー・スウィフトまで)」と、原盤権の返却を求めるような文言が書かれたポスターも貼られている。
2020年7月
『フォークロア』収録の「Peace」でスクーターとカニエをディスか
テイラーは7月24日に通算8作目となる最新アルバム『フォークロア(Folklore)』をリリース。本作に収録されている「Peace(ピース)」で、テイラーが長年にわたって確執を抱えていることで知られるカニエ・ウェストや、スクーターに言及していると見られている。
注目されているのは、「東には盗人が、西には道化師がいる(But there's robbers to the east/Clowns to the West)」という歌詞で、リリックビデオの中で、“east”の頭文字が小文字であるのに対して、“West”の頭文字が大文字で書かれていることから、カニエの苗字「West」を指しているのではないかとする説が浮上。テイラーとカニエは、2009年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでカニエがテイラーのスピーチを妨害した事件を発端に、10年以上にわたってカニエとバトルを繰り広げてきたことで知られている。
一方で、「東には盗人が」という歌詞は、スクーターを意味しているのではないかという説が浮上している。
2020年11月
過去曲の再レコーディングが可能に
テイラーが過去の楽曲を再レコーディングする許可が、2020年11月1日より解禁に。2006年リリースのデビュー作『テイラー・スウィフト』から2017年にリリースした通算6作目のアルバム『レピュテーション』を再レコーディングすることが可能となり、ファンたちはSNSでこれをお祝いし、ツイッターでは一時「#TaylorIsFree(テイラーは自由)」というハッシュタグがトレンド入りするまでになった。
原盤権が新たな投資ファンドの手に
米Varietyが、スクーターがテイラーの楽曲の原盤権を約325億円(300万ドル)で売却したと報道。第一報では、投資ファンドの名前は明かされていなかったものの、その後、テイラーはファンに宛てた声明の中で、自身の原盤権を手にしたのがシャムロック・ホールディングスという未公開株式投資ファンドだと報告した。
自分で原盤権を握れるよう交渉を続けてきたテイラーだけれど、彼女によれば、またもや、自身の知らないところで原盤権が売却されることになったという。以下、テイラーがSNSを通じて発表したコメントの一部を抜粋。
「数週間前、私のチームのもとに、シャムロック・ホールディングスという名の未公開株式投資会社から手紙が届きました。そこには、彼らがスクーター・ブラウンから私の音楽、ビデオ、アルバムアートの100%を購入したという内容が綴られていました。これで、私の音楽が私の知らないところで売却されるのは2度目です。手紙には、彼らは買収の前にこの事を私に知らせたかったものの、スクーター・ブラウンに、原盤権の購入前に私や私のチームとコンタクトを取ったら契約を破断にすると告げられていたと書かれていました。
私たちがシャムロック・ホールディングスと連絡を取り合うようになって間もなく、彼らが結んだ契約では、スクーター・ブラウンは、この先何年間も、私の原盤権により利益を得続けるということになっていると知りました。シャムロック・ホールディングスとパートナーシップを組むことに関して、当初、私は希望を持ち、前向きに考えていましたが、スクーターが関わってくるとなると話は別です。
私は最近になり、過去の楽曲の再レコーディングを始めたのですが、すごくワクワクしているし、クリエイティブ面でもすごく達成感を感じています。ファンのみなさんのために、たくさんのサプライズを用意しているし、この騒動を通じて私をサポートし続けてくれている事に感謝したいんです。私が頭に描いていることをみなさんの耳に届けるのが待ちきれません。みなさんのことを愛しています。これからも私は、世間で言われている通り、走り続けます」
さらに、テイラーはシャムロック・ホールディングスに宛てて記した手紙もSNSで公開しており、その中で、「私は、予定していた再レコーディングのスケジュールを前進させ、まもなく、その試みに着手します。この事は、古い原盤権の価値を下げてしまうことは承知ですが、これが、かつて6作のアルバムの収録曲を耳にした際に私が感じていたプライドを取り戻すため、そして、私のファンたちが、それらの曲を聴くときに、スクーターに利益を与えているという罪悪感を感じずに済む、唯一の方法であるということを、どうかご理解ください」と綴り、再レコーディングを進める意思を改めて示した。
テイラーの声明を受け、シャムロック・ホールディングスは次のように米Just Jaredにコメントしている。「テイラー・スウィフトは時代に左右されない楽曲を持った超越的なアーティストです。私たちは、彼女の作品が持つ計り知れない価値と可能性を信じ、今回の投資を行ないました。彼女の決断を完全に尊重し、支持します。当初はパートナーシップを結びたいと考えていましたが、こういった結果になり得ることも想定していました。テイラーのオープンなコミュニケーションや、先の数週間におけるプロフェッショナルな対応にも感謝します。彼女と提携できる新たな方法を模索するとともに、今後もアーティストと彼らの作品への投資を継続していきます」。