2016年に離婚を申請したことから始まり、複数の裁判にまで発展することとなったジョニー・デップとアンバー・ハードの法廷闘争が示談という形で収束した。2人の離婚から、ジョニーが自身を「Wife Beater(妻を虐待する者)」と表現した英The Sunを提訴した裁判、ジョニーがアンバーを名誉毀損で訴えた裁判など、一連の裁判がすべて収束するまでを時系列でまとめた。(フロントロウ編集部)

出会いから7年、結婚1年強で離婚

 ジョニー・デップアンバー・ハードの2人は2009年に映画『ラム・ダイアリー』の現場で出会い、2012年初頭から交際に発展。2年半の交際を経て2015年に結婚するも、2016年5月に「和解し難い不和」を理由に離婚を申請した。

画像: 出会いから7年、結婚1年強で離婚

 アンバーはこの時、交際中にジョニーから身体的な虐待を受けていたとして、接近禁止令も取得。ジョニーからの暴力は日常的だったと訴え、アンバーはジョニーが投げたスマートフォンに当たってできたとする、顔にできたアザの写真も証拠として裁判所に提出。アンバーにまつわるタトゥーを上書きしたことでも話題になったこの裁判は長期化が予想されていたが、3ヶ月後の2016年3月に示談が成立

 「私たちの関係は極めて情熱的で、時に、不安定なものでしたが、つねに愛によって結ばれているものでした。両者ともに、金銭的利益のために虚偽の告発をしたことはありません。相手に対し意図的に身体的または精神的苦痛を与えようと試みたこともありません。アンバーはジョニーの将来の幸せを祈るとともに、この離婚で得る経済的利益をチャリティに寄付します」と共同で声明を発表した上で、アンバーは示談金として受け取った700万ドル(約9億2,000万円)をチャリティに寄付すると発表した。ジョニーとアンバーはその後、2017年1月に正式に離婚が成立した。

ジョニー・デップが2つの裁判を起こした経緯

2018年4月 英Sunが「J・K・ローリングはなぜ『ファンタスティック・ビースト』の新作にwife beater(妻を虐待する者)であるジョニー・デップを起用することを『純粋に嬉しい』と思えるのか?(原題:How Can J K Rowling be 'genuinely happy' casting wife beater Johnny Depp in the new Fantastic Beasts film)」という題名のオンライン記事を掲載。

2018年6月 ジョニーが、自身を「Wife Beater(妻を虐待する者)」と表現した英The Sunを提訴。同メディアを運営するNews Group News社を相手取って名誉毀損の裁判を起こした。

2018年12月 アンバーが「私は性的暴力に対抗する発言をして、我々の文化の逆鱗に触れた。それは変えていかなければいけません(原題:I spoke up against sexual violence — and faced our culture’s wrath. That has to change.)」という論説記事を米Washington Postに寄稿。

2019年3月 アンバーが米Washington Postに寄稿した性的暴力に関する論説の中で、ジョニーの名前こそ出さなかったものの自身が受けたDVを告発したことで受けた誹謗中傷について記したことに対して、ジョニーが名誉毀損だと主張。自身の仕事にも影響が出たとして、アンバーを相手取って5,000万ドル(約66億万円)の損害賠償金を求める裁判を起こした。

画像: ジョニー・デップが2つの裁判を起こした経緯

裁判前に両陣営から批判と擁護の声

2019年4月 アンバーが名誉毀損訴訟に反論するために裁判所に提出した文書のなかで、ジョニーから身体的暴力を受けたのは事実だとして、ジョニーを「モンスター」と表現した。

2019年5月 ジョニーが「ハード氏はおろか、女性に対して暴力を振るったことは一度もありません」とアンバーの主張に反論。本来の被害者は「自分」だとして、アンバーからDVを受けていたと主張。アンバーからペットボトルを投げられたことが原因で、指の先端を負傷したと訴えたほか、アンバーか彼女の友人のどちらかが自身のベッドに“排泄物”を残したことが離婚の原因になったと主張した。

2019年7月 アンバーの友人女性がジョニーを擁護する証言を裁判所に提出。アンバーは2016年5月21日にジョニーから暴力を受けたと主張していたのだが、女性は「当時はアンバーと一緒にいましたし、暴力があったとされる日以後、少なくとも5月23日、24日、25日は会っていました。(中略)暴力があったとされる日から数日間、私は彼女に腫れや切り傷、アザやそういった身体的な暴力被害やケガをまったく見ませんでした」と証言して、当時アンバーが怪我をしていた様子は見られなかったとした。

 ジョニーはアンバーから受けた暴行として、顔にタバコを押し付けられたこともあったと主張。証拠だとする写真も裁判所に提出した。

2020年3月 ジョニーの元パートナーたちがジョニーを擁護する陳述書を裁判所に提出。1990年から1993年まで交際していた元婚約者であるウィノナ・ライダーは「アンバーと婚姻関係にあった頃のジョニーのことを私は知りません」と前置きした上で、「“非常に暴力的な人間”という人物像は、私がかつて愛した、私の知るジョニーとは程遠いものです。彼が非難されている理由が私には理解できません。(中略)彼が周りの人たちに暴力的もしくは虐待的な態度を取るところも見たことがありません」と証言して、自身の知る限りジョニーは暴力的な人間ではないとした。

 また、ジョニーとの間にリリー・ローズ・デップとジョン・“ジャック”・クリストファー・デップという2人の子どもをもうけ、1999年から2012年まで約14年にわたって事実婚の関係にあったヴァネッサ・パラディも「私が知るジョニーは思いやりがあって、気配りができて、寛大で、非暴力的な父親でした」とコメント。「理不尽な供述や声明に苦しむ彼の姿を見てきました。残念ながら、多くの人がこれらの虚偽の供述を信じたことによって、彼のキャリアはダメージを受けました」と、アンバーの訴訟によってジョニーはダメージを受けたとして、彼を擁護する姿勢を示した

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